THE S&P 500 MARKET: 2020年9月

 パーティーは続き、9月は2日連続で終値での最高値を更新して(3,580.84、最高値更新は年初来で22回)幕を開けましたが、上がったものはいずれ下がるのが世の常であり、あまりにも急速に上昇したものは、結果的に空売り投資家を喜ばせ、市場に不安感を募らせることになりました。

 市場の下落を後押ししたのは、新型コロナウイルス感染者数の増加による経済活動再開の撤回、欧州を中心とした活動の再停止と再規制、新学期の混乱などに対する懸念の高まりです。数カ月前から日程が決まっていたにもかかわらず多くの地域では新学期に対する準備が不十分で、子供たちの間、特に高等教育機関で感染が拡大しました(「子供はやはり子供」ということです)。

 さらに、11月3日に迫る大統領選挙も市場の懸念に拍車をかけています。通常、今頃は資産の再配分により出来高が増加する時期ですが、勝者が確定する時期も含めて選挙結果に対する不透明感から、ペーパー・ポートフォリオは作られても実際の取引行動に至っていません。大統領候補による第1回討論会(この後10月15日と22日の2回が予定されています)や欠員が生じた最高裁判事の指名をめぐる争いも、確実な取引にはつながりませんでした。この影響は10月に一気に増大すると予想され(11月のことはまだ考えたくありません)、選挙結果に対する見方が取引を誘引すると思われます。

 もう一つの全体的な懸念事項として、予想される市場の混乱を乗り切ろうと多くの投資家が現金の確保(何も生み出さないにせよ)に走った場合、安全への逃避のための売りを買いがカバーしきれずに市場が一層の深みに沈む可能性があります。実際の市場の動きを見ると、9月に市場は3.92%下落して8月の上昇分(7.01%)の半分以上を打ち消しましたが、第3四半期8.47%上昇、年初来では4.09%の上昇となりました。年初来では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を上回っており(値上がり銘柄203銘柄のうち10%以上上昇は138銘柄、値下がり銘柄300銘柄のうち10%以上下落は218銘柄)、11セクター中6セクターが上昇しています。市場は終値での最高値を7回更新した8月のトレンドが持続し、9月も1日と2日に連続で最高値を更新しましたが(年初来では22回、2016年11月の大統領選以降では146回)、それ以降は下り坂がほぼ続いています。

 多くのアナリストは新型コロナウイルスの感染者数の増加とそれに伴う経済活動の再停止、選挙イヤーの政治、最高裁判事の後任問題を指摘していますが、野獣を手なずけた(殺してはいません)のは単純に重力だったのかもしれません(過去114営業日で60.06%上昇していました)。ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は8月末の28,430.85ドルから2.28%下落して27,781.70ドルで9月を終えました(配当込みのトータルリターンはマイナス2.18%)。8月は7.59%の上昇(同プラス7.92%)でした。過去3カ月間では7.63%上昇(同プラス8.22%)、年初来では2.65%下落(同マイナス0.91%)、過去1年間では3.21%上昇(同プラス5.70%)となりました。

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