16日発表の5月の米小売売上高が前月比17.7%増。ポジティブ・サプライズ

 米商務省が16日に発表した5月の米小売売上高がポジティブ・サプライズ(良くて驚き)でした。前月比17.7%増で、統計を開始した1992年以来、最大の増加率でした。これを受け、アイランド・リバーサルの弱気シグナルが出ていたNYダウは持ち直しました。

 米小売売上高は、前年同月比ではまだ▲6.1%のマイナスですが、それでも前月比で、事前の市場予想(7%程度)を大幅に上回る伸びを実現しました。

米小売売上高(前月比):2019年1月~20年5月 

出所:米商務省

 経済を再開しつつある米国で、リベンジ消費といわれる盛り上がりが起こっています。コロナに押さえつけられた消費を取り戻すリベンジ(報復)のよう、という意味で、リベンジ消費と言われます。

 同じようなリベンジ消費が盛り上がったのが、過去の例でいうと、2001年の米クリスマス商戦でした。

 2001年、米国は「ITバブル崩壊不況」と言われる不況に見舞われていました。その年9月11日、「同時多発テロ」が起こりました。ITバブル崩壊にテロが追い打ちをかけ、米景気は一段と落ち込むとの見通しが広がりました。ところが、現実は逆でした。2001年のクリスマス商戦は、「テロに負けるな」が合言葉となり、異常に盛り上がりました。テロがあったからこそ、テロに負けないという意思を伴う「リベンジ消費」が盛り上がり、それで米景気は不況から立ち直りました。

 今、「コロナに負けない」リベンジ消費が出つつあります。今回、感染の二次拡大にどこまで抵抗できるか、しばらく目が離せません。