株式市場では、いつも同じ銘柄が買われ続けるわけではありません。いつかは人気銘柄が入れ替わる「変化」があります。今回は、この兆候をつかむために、筆者が実際に行っていることや、対応策についてご紹介します。
ここ最近起こっている「ある変化」とは?
9月中旬に入り、日本株に「ある変化」が起こりました。
それまでは好業績が続く成長株が買われて、それ以外の銘柄、たとえば東証1部上場の大型株はまったく買われないという二極化相場となっていました。
それがここ最近ではまったく逆の動きになっているのです。これまで株価が大きく上昇していた成長株が下落に転じ、逆に株価が軟調だった証券株、銀行株など東証1部の大型株が買われています。
つまり、今までとは物色の対象が異なり始めている、そんな変化の兆候が現れているのです。
変化の兆候をつかむために筆者がやっていること
筆者は、上記のような変化の兆候があると、すぐに気づくことができます。それは、数多くの個別銘柄の株価チャートを毎晩日々チェックしているからです。
筆者が毎日チェックしているのはおよそ400銘柄です。その中身は業種もさまざま、東証1部の大型株から新興市場の好業績株まで各種取りそろえています。
たとえば9月中旬のケースでいえば、右肩上がりに上昇していた内需系の好業績株が、ちょうど稲穂の先のように頭打ちとなった一方、右肩下がりに下落していた銀行株、証券株などがいっせいに反発しました。
つまり、これまでとは正反対の動きが起きたことが、株価チャートにより明らかとなったのです。
なお、こうした動きはファンダメンタルとはあまり関係がないことが多いのです。もちろん、ファンダメンタルの要因により個別銘柄が大きく動くことはありますが、今回のように明らかに買われている銘柄のグループが昨日と今日でまったく異なる、というのはファンダメンタルとは関連付けることはあまりできません。
ですから変化の兆候をつかむためには、さまざまな銘柄の株価チャートで株価の動きをチェックすることが最も早いと考えています。
変化の兆候をつかんだらどうするか
もちろん、変化の兆候をつかんだとしても、これで終わりでは意味がありません。それを基に、実際に行動する必要があります。
変化の兆候が、本格的な変化につながることがありますから、それを踏まえた対策をしておくことになります。
筆者であれば、それまで低迷していた銘柄の株価が25日移動平均線を超えるような動きになれば、試し買いをしてみます。
直近であれば、長らく軟調だった銀行株や証券株が、25日移動平均線を明確に超える動きとなっています。筆者はこうした銘柄を試し買いの対象としました。
変化の兆候が本当に「兆候」だけで終わってしまい、元の動きに戻ってしまうケースも多々あります。でも、本当に大きな変化が起こるときも、その前に必ず「兆候」が現れます。
ですから、「兆候」が現れたときに適切な行動をしておけば、それが本当の変化に発展したとき、結果としてかなりいいタイミングで株を買うことができるのです。
25日移動平均線を超えたなら、とりあえずは買ってみる、再度25日移動平均線を割り込んだら、単なる兆候で終わってしまったと損切りする。このようにある程度、機械的に行動していったほうがいいでしょう。
変化の兆候をつかむ自信のない方へ
さすがに筆者のように400銘柄の株価チャートを毎日チェックするのは簡単ではないかもしれませんが、マーケット全体の変化を把握するには、業種、会社規模、上場市場などが偏らない形で、少なくても50銘柄、できれば100銘柄の動きを日々確認しておきたいものです。
でも、「そこまでするのはちょっと…」と尻込みしてしまう方には、次のような対応策があります。
それは、投資可能資金の振り向け先を「新興市場銘柄」と「東証1部銘柄」に分けて投資するというものです。
日経平均株価とマザーズ指数の値動きを見るとわかる通り、両者は決して同じような動きにはなっていません。
直近では、日経平均株価が年初来高値を更新する一方、マザーズ指数は年初来高値からかなり値下がりしている水準にあります。
つまり、東証1部銘柄と新興市場銘柄とは、値動きが異なっているのです。
2013年前半のような、どんな銘柄でも上昇するような全面高の相場なら何を買っても問題ありませんが、それ以外は新興市場銘柄と東証1部銘柄のうち、どちらかが買われ、どちらかはあまり株価が上がらない、という傾向があるのです。
どちらに転んでもいいように資金を配分しておけばよい
本当なら、新興市場銘柄が買われる時期と東証1部銘柄が買われる時期を見極められればいいのですが、それにはやはり100銘柄以上の株価を日々チェックする必要があります。
それができないのであれば、「どちらに転んでもいいようにしておく」ことが実践的な対策なのではないかと思います。
つまり、東証1部銘柄と新興市場銘柄の両方に投資しておき、どちらかがより強く買われるような相場環境になったときも、ある程度は恩恵が受けられるようにしておくのです。
どちらかに投資資金を偏らせた結果、全滅することだけは避けようという考え方です。
そして、東証1部と新興市場銘柄に資金を振り分ける割合ですが、新興市場銘柄のほうが値動きは大きく、リスクが高いことを考えると、「東証1部:新興市場銘柄=2:1」程度がひとつの目安となります。
もちろん、値動きが大きいというリスクを十分に許容できるという方は、新興市場銘柄への配分割合を高めにしてもいいと思います。
永遠に同じ銘柄が買われ続けることはありません。いつかは買われる株が変化していきます。変化の兆候をつかむこと、もしそれに自信がないのなら、どう変化してもそれなりに対応できるようにしておくことが、株式投資の成果を向上させるひとつのコツです。