低コストのインデックスファンドが上位を独占

 2020年1月「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2019」の結果発表・表彰式が東京・大井町のきゅりあん(品川区総合区民会館)小ホールで開催されました。

 このアワードは投資家自身でよい投資環境を作っていこうと2007年に始まったもの。今回で13回目になります。対象となるのは、2019年10月31日までに設定された投資信託・ETF(海外籍ETFは日本の証券会社を通じて買付可能なものに限る)。

 今回投票した投信ブロガーは225名(有効投票は221名分)で、持ち点である5点を1から5つの投資信託に振り分けて投票するしくみです。

TOP10はすべてインデックスファンド

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2019」の上位10本の結果は次の通りです(下表参照)。

 1位に輝いたのは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(三菱UFJ国際投信)。MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCIACWI)に連動する投資成果を目指すインデックスファンドです。1本で日本を含む世界の株に投資することができます。

 昨年に続き、上位10本はすべてインデックス型の投信となりました。

 なかでも、1位に加えて、2位eMAXIS Slim米国株式(S&P500)、3位eMAXIS Slim先進国株式インデックスと、トップ3を独占したのが三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slimシリーズ」です。同シリーズは、同じ資産クラスで他社がより低い運用管理費用(信託報酬)を打ち出せば追随して引き下げる方針を表明しています。

 スピーチに立った、常務取締役の代田秀雄さんは「いろんな競争の中で、資産運用業界を盛り上げることが、結果的に資産形成を世の中に広めていくことになる。引き続き(ライバル会社と)いい緊張感、いい競争関係を保っていきたい。去年多くの方がファンドの積立を始めたのではないか。その成功体験を多くの方に広げていきたい。ただ、資産運用はいい時ばかりではない。長い期間(投信を)お持ちいただけるように、ファンドの情報発信などを含めて、投資家の方に寄り添っていければ」と語りました。

 一方、昨年2位だった「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」(ニッセイアセットマネジメント)は4位に後退。常務取締役の上原秀信さんはユーモアを交えながらも、「新しいファンドを立ち上げて信託報酬を下げるのではなく、既存の投信の信託報酬を引き下げるアクションを起こしたのは我々が最初。誰ひとり取り残さない、利益の分かち合いを目指してきた」と訴えました。また、舞台の上で「2月に信託報酬の引き下げを実施する」と宣言(翌週正式に2月21日から信託報酬を年率0.0999%から0.093%<税抜き>に引き下げると発表。引き下げは6回目)。

 今後も価格競争は続きそうです。

写真提供:投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year運営委員会

 なお、7位の「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」(セゾン投信)と9位の「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」(バンガード・グループ)は特別賞「最多入賞賞」を受賞しました。過去13回のうち最も多くトップ10入りを果たしたためです。両投信とも13回中11回トップ10入りを果たしました。