居住地以外の自治体に寄附することで住民税が控除されるうえ、返礼品までもらえるふるさと納税制度。近年、返礼品をめぐって各自治体の競争が激化し、総務省はたびたび通知を出してきました。それでも一部の自治体は総務省の通知に従わず、2019年6月からは4市町がふるさと納税の制度対象外に。どのような変化があったのか、見ていきましょう。

ふるさと納税制度の歴史をおさらい

 ふるさと納税は2008年に始まりました。最初は知名度が低かったものの、ポータルサイトの台頭やメディアでの紹介によって徐々に浸透していきます。2015年にはふるさと納税の上限額が引き上げられ、利用者が増加。自治体間の競争も加熱していきました。

 2017年4月には、総務省が全国の自治体に返礼品の還元率を3割以下にするよう通知。プリペイドカードや商品券・電子マネーなどの金券類、家電製品や宝飾品、楽器など資産性の高いものはやめるよう求めました。それでも一部の自治体は通知に従わず、金券類や寄附金の3割を超える返礼品を続行します。

 2019年度の税制改正では「寄附金は適正に募集すること。返礼品の調達額は寄附額の3割以下、地場産品に限る」と定められ、ふるさと納税は総務大臣の指定制に移行しました。2019年5月14日付の告示によってふるさと納税の指定自治体が発表され、対象外となる自治体が公表されています。

寄付控除の対象外となる自治体はどんなところ?

 返礼品を理由に除外されたのは静岡県小山町、大阪府泉佐野市、和歌山県高野町、佐賀県みやき町の4市町です。これに加え、ふるさと納税の申請を行わなかった東京都も対象外になりました。

・静岡県小山町

 返礼品4割のAmazonギフト券やリンガーハット商品券、サーティーワンアイスクリーム商品券を返礼品としていました。週末限定の返礼品を出していたことでも話題になり、2018年には248億円もの寄附金を集めました。

・大阪府泉佐野市

 関西空港の利用促進をはかるピーチポイントを返礼品にして注目を集めました。その他にも多種多様な返礼品を用意。独自のふるさと納税サイト「さのちょく」を開設し、返礼品とあわせてAmazonギフト券で還元して多くの寄附金を集めました。

・和歌山県高野町

 高野山ゆかりの地を訪れてほしいとの願いから、旅行券を返礼品としてきました。2018年11月~2019年3月までの寄附額は186億円にのぼります。

・佐賀県みやき町

 HIS旅行券や電化製品を返礼品とし、2018年度には約168億円の寄附金を集めました。

・東京都

 東京都はふるさと納税制度そのものに反対するとして、参加希望の申請を行いませんでした。自らの意思で離脱した自治体は東京都だけです。ちなみにこれは東京「都」が対象外になっただけで、東京都内の市区町村は引き続き参加しています。