個別銘柄の選定方法

 次に、個別銘柄の選定です。予想PER(株価収益率)が12倍以下で、財務体質の良い銘柄を選定していきます。

「高原状態~後退期」では特に高PER銘柄は避けたいと考えています。その理由は、高成長が前提となっているケースが多く、成長が止まった時に株価が急落しかねないからです。

 また、財務体質の良い銘柄であれば安心感があり、配当を増やしたり、自社株買いといった可能性もあるため、私自身は好んで選定します。そして、1銘柄に集中せず、1銘柄あたりの投資額は最大でも運用資金の20%に抑えることをお勧めします。

 銘柄の選定基準は次のとおりです。

  1. 売上・営業利益を順調に増やしている成長&割安銘柄
  2. 何らかの要因により、一時的に利益水準が下がっている銘柄
  3. 高シェアで利益率の高い銘柄

 一つ一つ見ていきましょう。

 1.は、今後も順調に売上・営業利益が増えていけば、多少、買ったタイミングが悪くても、保有し続けることで、いつかは株価に反映されてくるという考え方です。

 参考銘柄は、2020年代には1,000億円の売上を目指しているコンドーテック(7438)、無借金で営業利益率20%以上の中央自動車工業(8117)、「サービスの質は人間の質そのもの」として社員の人間力を高めることに注力しているKSK(9687)、デジタル時代だからこそDMを強化しているディーエムエス(9782)です。

 2.は、一時的な要因で利益が低くなっているため、株価も低迷しているけれども、正常化した時の売上・利益水準を考えると現在の株価は割安で、今後の上昇が見込めるという考え方です。

 参考銘柄は、鶏肉相場の低迷により減益予想だが、営業利益率10%以上のアクシーズ(1381)、昨年出荷した製品の不具合への対応と5月の工場火災により足下の利益は低迷しているが、フル生産状態のノザワ(5237)です。

 3.は、高シェアを持ち、利益率が高い企業であれば、価格支配力があると考えられ、今後、事業環境が悪くなることが想定されているとしても、現在のPERが低すぎれば、株価は水準訂正してくるという考え方です。

 参考銘柄は、業界が淘汰され、受注単価も上がり、2018年度のシェア64%を誇る高橋カーテンウォール工業(1994)です。

 上記の銘柄も、買うタイミングはいつでもよいという訳ではなく、年に1、2回ある日本株全体が下落した局面を狙うことをお勧めします。

株価のベースは利益にあり

 個別株に投資をしていると「業績は良いのに株価がずるずる下がっていく」「決算発表の内容は良かったのに株価は下がった」というようなことが、多々あります。しかし、短期的な株価の動きに、こちらが翻弄されていては、中長期で利益を積み上げていくことは難しいでしょう。

 私自身が基準に置いていることは、利益が伴っている限りは、株価が下がろうが、自らの選択を信頼することです。仮に保有している銘柄の業績が悪化し、株価が下がった場合でも、その下がった時点で割安かどうかを判断し、見切るか、保有し続けるかを決めていきます。何かしらの基準がないと、株価が上がると良い会社、下がると悪い会社に見えがちになります。そうなると、上がると買い、下がると売るという行動に繋がり、資産を減らしてしまいかねません。

「株価は最終的にはその企業の利益で決まってくる」この基本観を持ち続けることをお勧めします。この基本観さえあれば、きっと中長期的にうまくいくことでしょう。