A株IPOの目論見書発表、好タイミングの資本増強を評価
現地コード | 銘柄名 |
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01658 |
中国郵政儲蓄銀行 (ポスタル・セービングス・バンク・オブ・チャイナ) |
株価 | 情報種類 |
4.64HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国郵政儲蓄銀行は6月28日、本土A株市場でのIPO(新規株式公開)に向け、目論見書を発行した。BOCIの推計では、A株の適正公開価格はPBR(株価純資産倍率)換算で約1倍。新株発行を受け、19年には自己資本比率(CAR)が約0.5ポイント上向く見通しという。BOCIは向こう2-3年で自己資本基準がさらに強化される可能性を指摘し、A株IPOを通じた資金調達後には、同行がレバレッジ面で慎重スタンスを取るとの見方。利益見通しを据え置き、株価の先行きに対して中立見通しを継続している。
BOCIは同行H株が現在、18年実績PBR0.77倍で取引されている点を指摘し、A株公開価格がPBR約1倍という標準的なレベルに落ち着くとみている。国有4大商業銀行に目を向けると、AH価格差(同一銘柄のH株株価に対するA株株価のプレミアム率)は約28%。この平均値をあてはめると、同行のA株株価は18年PBRで約0.97倍となる。この数字は基本的に、「BPS(1株当たり純資産)を下回らない」とする公開価格の要件に合致するという。
一方、自己資本比率はA株IPO実施後に、0.5ポイント上向く見込み。目論見書によれば、A株IPOでは最大51億7000株(15%相当のオーバーアロットメントオプション=追加割当権分を除く)を発行する計画であり、BOCIは資金調達額が272億元(追加割当権込みでは313億元)に上ると推定している。また、これに伴い、19年末のコアTier1比率、Tier1比率、総自己資本比率がそれぞれ10.03%、11.01%、13.60%へ、いずれも約0.5ポイント上向くとの見方。15%の追加割当権込みでは10.10%、11.08%、13.68%に達するとみる。ただ、国内“ビッグ5”(4大国有商銀+交通銀行)の自己資本比率は19年3月末時点で14.2-17.1%。A株IPO後も、同行の自己資本比率はこれを下回ることになる。
A株上場を受けて「AH重複上場銘柄」となることにより、今後は同行の資本市場へのアクセスが強まる。BOCIはまた、同行の相対的に速い事業拡大ペースや同業銘柄と比べた重要度を指摘。向こう2-3年以内に、G-SIB(グローバルなシステム上重要な銀行)、D-SIBs(国内のシステム上重要な銀行)を対象としたより厳しい自己資本基準が適用される可能性もあるとした。こうした中、資本増強に動くだけでなく、IPO完了後にはレバレッジ面で慎重スタンスを取る可能性が高いとみている。
同行H株の現在株価は19年予想PBRで0.68倍の水準にある。BOCIは売上高費用比率および運用資産増加率に関する想定値を小幅に引き上げながらも、基本的に利益見通しを据え置き、株価の先行きに対して中立見通しを継続している。