11月中旬から続く「トランプ相場」、この間に株価が大きく上昇する銘柄も目立ちました。今から買うなら、まだ株価が上昇していない銘柄を選びたくなるもの。でも、その「出遅れ銘柄」、本当に投資しても大丈夫でしょうか?

今さらながら株式投資の「常識」を考えてみる

皆さん目的は違えども、個人投資家が株式投資をする共通の理由は、「資産を増やす」ことにあると思います。では、株式投資で利益をあげるにはどうすればよいでしょうか?

今さら言うまでもありませんが、正解は「安く買って高く売る」ことです。もちろん、これが全てではありませんが、基本路線としては買った価格より高く売らなければ利益になりませんから、この考え方が根底にあります。

とすると、今から何か個別銘柄に投資するのであれば、11月以降のトランプ相場で株価が安値から大きく上昇した銘柄より、まだあまり上昇していない銘柄を狙う方がよいのではないか、と考えるのは自然のことです。つまり「出遅れ銘柄」を新規買いのターゲットにするという考え方です。

「出遅れ銘柄」には2種類ある

ところで、「出遅れ銘柄」は大きく分けて、2種類に分類できます。それは、「相場全体から見た出遅れ」と、「同業種内の出遅れ」です。

このうち、「相場全体からみた出遅れ」とは、例えば足元の相場であれば、11月中旬以降日経平均株価やTOPIXといった株価指数のみならず、多くの個別銘柄が大きく上昇する中、この間あまり株価が上昇していない銘柄を指します。

また、「同業種内の出遅れ」とは、同業種の銘柄の多くは株価が大きく上昇しているものの、それに比べて相対的に上昇が小さい銘柄のことを指します

「同業種内の出遅れ」の具体例は?

「同業種内の出遅れ」の例としては、相場が活況で売買代金が大きく膨らんでいるときの証券株です。証券株は、相場活況の時はみな同じように上昇しますが、銘柄により上昇率に差が生じます。「乗り遅れたかも!」と思った場合は証券株の中でできるだけ株価の上昇が小さい銘柄を選んで飛び乗ってしまうのも一考です。

また、大相場の初動では、不動産株も一斉に値上がりすることがよくあります。多くの不動産株が一斉に上昇を始めた時、株価があまり大きく上昇していない銘柄があれば、それを先回り買いしておくのが有効です。

さらには、テーマに乗った業種も狙い目です。2012年11月~2013年5月の初期アベノミクス相場では、バイオ関連株が一斉に急騰しました。この時も出遅れている関連銘柄はいくつかありましたから、それらを先回りして買っておくことが有効でした。テーマ株は、いつ相場が終了して株価が大きく下落するか分かりません。したがって、すでに大きく上昇している銘柄に飛び乗るのではなく、まだあまり大きく上昇していない銘柄を買った方が、株価急落のリスクに対しては対処しやすいと思います。

出遅れ銘柄を買うメリットは?

出遅れ銘柄を買うメリット、それは何といっても「安く買える」ということです。株価が安値から2倍、3倍になった銘柄を今から買うと、上昇がストップして株価が半値以下にまで下がってしまう恐れがあります。

でも出遅れ銘柄であれば、そもそも株価が安値からあまり上昇していませんから、株価が下落してもたかが知れています。

安く買えて、かつ株価が下落したときの下落率も小さく収まることが期待できる、これが出遅れ銘柄を買うメリットです。

出遅れ銘柄の買いは「リスク」にはならないのか?

しかし、上記のメリット、果たして本当に成り立つのでしょうか?

株価が上昇せずに放置されていることが、本当に「出遅れ」を意味するのでしょうか。本当は、業績が良くないために株価が上昇しないだけ、という可能性も大いにあります。

ちょうど3月決算銘柄の第3四半期決算、12月決算銘柄の本決算の発表が出そろいました。業績が悪い銘柄は大きく売られ、直近安値をもいとも簡単に割り込んでしまうものも少なくありません。

よく勘違いしがちなのが、「安値からあまり上昇していないのだから、下落したときもあまり大きく下がることはない」と思ってしまうことです。でも、そんな保証はどこにもありません。

直近安値から株価があまり上昇していない銘柄なら、株価が下落に転じたときに直近安値の水準で下げ止まる、とは決して考えてはなりません。

決算がマーケットの想定以上に悪ければ、例え株価があまり上昇しておらず出遅れ銘柄に見えたにしても、そこから株価が30%、50%と下落することは決して珍しくないのです。

次回は、初期アベノミクス相場を参考にしながら、「出遅れ銘柄」に対する具体的な立ち回り方について考えてみたいと思います。