8月前半のビットコイン/日本円(BTC/JPY)マーケット概況
8月前半のビットコイン/日本円相場は7月後半から一転、下落基調が続いています。SEC(米証券取引委員会)が初めてビットコインETF(ビットコインが投資対象に含まれる上場投資信託)を承認するのでは、という期待感から90万円台まで上昇したものの下落に転じ、一時70万円を割り込みました。
それでは、具体的な流れを振り返ってみましょう。ETFへの期待感から7月24日に90万円台を回復すると、7月下旬は同水準でのもみ合いが続きました。27日には米大手仮想通貨取引所ジェミニを運営する著名投資家・ウィンクルボス兄弟が申請していたETF「ウィンクルボス・ビットコイン・トラスト」が、SECに却下されたことが伝わると、一時80万円半ばまで調整しました。
ただ、本命と目されるCBOE(米シカゴ・オプション取引所)に申請中のETFが、まだ承認待ちの状態であることから押し目買いが入り、翌28日には90万円を回復。ETFへの期待感の高さが窺えました。
その後、7月31日から1日にかけて「韓国政府が仮想通貨取引への税控除廃止を検討」との報道や、米大手投資銀行ゴールドマン・サックス幹部の「仮想通貨は今後さらに下落する」との発言が材料視され、90万円を大きく割り込み85万円まで下落しました。一時ほどではないにしろ、仮想通貨市場における韓国の占めるシェアは高く、換金売りが膨らむ可能性を嫌気したようです。また、韓国では大手仮想通貨取引所ビッサムが新規アカウントの発行を停止したことも重しとなりました。
さらに4日には、2014年に経営破綻したビットコイン取引所マウントゴックスの再生基本計画案として、債権者への資金返済をビットコイン及びビットコインキャッシュで行う方針と伝わり、80万円を割り込みました。換金売りが強まるとの見方から、売りが強まったようです。
8日には、ビットコインETFへの期待感が剥落したことで、ビットコイン価格は一時70万円を割り込みました。SECは8日、「CBOEのビットコインETF可否判断を9月30日に延期する」と発表。相場の下支え要因となっていただけに影響は大きかったようです。また、一部では延期が最大8カ月となる可能性が指摘されており、下げ足を速める要因になったようです。
7月後半の上昇分を完全に消化し、7月前半の水準まで調整したビットコインですが、70万円を維持できるかが今後の焦点になると思われます。足元ではETF承認先送りから失望売りが加速していますが、一部市場関係者からは、こうした反応は過剰だ、との声も聞かれます。買い材料に乏しく、一段の上昇は期待しづらい中で、売りをこなしていけるかが注目されます。
■ビットコインの日足チャート
BTC/JPYとの相関係数(7月26日~8月9日)
- ドル/円 △0.32(▲0.70)
- 日経平均 ▲0.05(▲0.24)
- 金/ドル △0.61(▲0.71)
- 米10年債 △0.49(△0.82)
- NYダウ ▲0.76(△0.68)
※フィスコ仮想通貨取引所のBTC/JPYの終値ベース
※1~0.7は強い相関あり、0.7~0. 4はやや相関あり、0.4~0.2は弱い相関あり
※カッコ内は前回(7月12日~7月26日)のもの