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さおだけ屋・山田真哉インタビュー(全2回):前編  後編

ベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の著者であり、エンタメ専門会計事務所の所長で公認会計士・税理士の山田真哉さんは、株主優待投資家としても知られています。ただ、お金にまつわる数字を扱う専門家だからといって、順調に投資でもうけていたというわけではありません。むしろ逆。社会人になりたてのころは、「働かずに食べていく方法」を追求するあまり、大損をしたこともありました。

 

バイト代を貯めて50万円で投資信託を買ってみた

 山田真哉さんが投資を始めた時期は、大学を卒業して一般企業で働き始めた1999年、22歳の時でした。当時はまだネット証券が普及しておらず、「勇気を振り絞って証券会社の窓口へ行き、バイトでためた50万円で外国債券をメインの投資対象とした投資信託を買いました」。
なぜ投信を買ったのかというと、投資に「大人」を感じたから。

「就活の時、面接官に経済のことを聞かれても答えられるように、日経新聞を読んで勉強をしたのですが、その時に、大人たちは投資をしていることを知りました。証券会社の窓口では、担当者に対して『ドル/円はこの先も絶対に円安へ向かいますよね』と自分なりの為替相場の見通しを語った記憶があります」

 その年の3月の為替相場は1ドル=110円前後でした。それが2カ月後には120円台になったことから、山田さんはさらに円安が進み130円台、140台になると予想していました。担当者も同意してくれると思ったら「困った顔をするばかり。立場上、『そうですね』とも『違います』とも言えないのです。この時、投資は自己責任なんだと悟りました」

 山田さんは<自己責任>という言葉の重みをすぐに知ることになります。
「円相場は円安ではなく円高へ向かい、9月に105円、12月末は102円に。含み損を抱えた投信は4、5年保有していたと思います。でもこれをきっかけに株式投資にも興味をもつようになりました」

 ところが2000年に公認会計士試験に合格して監査法人に転職したことで、業界の自主規制により株式投資ができなくなりました。