今年に入ってからの日本株は「下落相場」が続いています。そんな中、上昇している銘柄をいつ利食いするか、非常に悩ましい状況です。一体、どうすればよいのでしょうか?
日経平均株価だけを見ていると今年の日本株の状況を見誤る
早いもので2018年も半年が終わりました。今年に入ってからの日本株の状況を一言でいえば、「厳しい」と感じる個人投資家の方が多いのではないでしょうか。2017年末の日経平均株価は2万2,764円94銭、2018年6月末では2万2,304円51銭と、日経平均株価でみると半年間で2%ほどの小幅な下落にとどまっています。
しかし、個別銘柄をみると、それ以上に下落している銘柄の方が圧倒的に多い状況です。個別銘柄に投資している個人投資家の感覚からいえば、「日経平均株価が強すぎる」というのが正直なところでしょう。
日経平均株価だけを見ていると、今年前半の日本株の状況を見誤ってしまう、それが疑いのない現状です。
下落相場の特徴は?
このように、個別銘柄の多くが値下がりを続けているわけですが、全ての銘柄が同じように値下がりをしているのではありません。中には、高値更新を続けるような、強い銘柄も少数ながら存在しています。
でも下落相場では、せっかく株価が本格的に上昇に転じようとしても、相場全体の環境に影響されて、株価が伸び悩んでしまうケースが非常に多いです。つまり、下落相場では上昇トレンドになっても株価がそこからが伸びない、という特徴があるのです。
筆者は、株価が短期的に大きく急騰しない限り、25日移動平均線を割り込んだら保有株を売却する、というルールに基づいて売買しています。
そのため、例えば株価が25日移動平均線を超えて20%ほど上昇しても、そこから伸び悩んで結局は25日移動平均線を割り込み、利益を得られずに売却することがかなり多くなってしまっています。
アベノミクス相場前後で起きていたこととは?
今のような状況は、アベノミクス相場が始まる2012年11月中旬より前、日本株が何年もの間低迷しているときにも起こっていました。
株価が20~30%上昇しても、そこからさらに上昇することなく伸び悩んでしまい、結局元の水準に株価が戻ってしまう、というケースが続出していたのです。
このときに成功していた戦略が、筆者のように株価が25日移動平均線を超えている限り保有を続けるのではなく、株価が20%程度上昇したら、25日移動平均線を株価が超えていても売却し、利益を確定してしまうというものでした。
ちょっと上昇しても、相場環境が悪いのですぐ株価が下落に転じてしまう・・・それならば、欲張らずに少し株価が上昇したら売ってしまおう、という考え方です。
ところが、アベノミクス相場がはじまり、状況は一変しました。20%程度上昇したところでいつものように利食いをした後の株価の動きがそれまでとは異なったのです。20%で株価の上昇が止まるどころか、50%、100%と上昇が続き、中には株価が3倍、5倍に上昇した銘柄が続出しました。
少しの上昇で早期に利食いしてしまった投資家は、利食い後の株価のさらなる上昇についていけず、アベノミクス相場初期の、大きな利益を得る機会を逃してしまったのです。
「いいとこどり」の戦略は実際には不可能?
このように書くと、「それなら下落相場の間は20%程度上昇したら利食いをし、上昇相場に転じたら25日移動平均線を割り込むまで保有を続け利益を伸ばせばよいのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも筆者は、そのような「いいとこどり」の戦略を行うのは、実際には不可能に近いと思っています。
なぜなら、下落相場がいつまで続き、どこから本格的な上昇相場に転じるかを明確に見極めることは困難だからです。
「下落相場が長期間続いた」とか、「今回は大きな上昇相場だった」ということは、後になってからはじめて分かることです。下落を続けていた株価が底打ちし上昇に転じたタイミングも、後になってみないと分からないのです。
現に、アベノミクス相場が始まる前に小さい利益でしっかり利食いをしていた投資家のほとんどは、アベノミクス相場初期の、大きな利益を得る機会を逃しています。
この事実が、「いいところどり」はできないということを示しているのではないでしょうか。
結論:筆者が考える保有株の「利食い」
こうした状況から、筆者は保有株の利食いについては、次の2つのいずれかの方法を取るしかないのではないかと考えています。
(1)株価が25日移動平均線を上回っていても、株価が20%程度上昇したら利食いをすることで、少額でもしっかりと利益を確保する
(2)株価が25日移動平均線を上回る限り保有を続け、株価が大きく上昇した際にしっかりと大きな利益を得られるようにする
このうち、筆者は以前から(2)の方法を取っています。これにより、確かに今年のような相場環境では、利益を得ることは難しい状況にあります。
しかし、(1)の方法でも(2)の方法でも、買った株を損切りせざるを得ない状況は一定数起こり得ます。となれば、損切りによる損失を上回るだけの利益を得ることができなければ、長い目で見て株式投資で資産を形成することはできないのです。
とすると、(1)の方法は、確かに下落相場の期間だけを切り取れば、(2)の方法よりも投資成績が良くなる可能性が高いですが、大きな利益を得ることができなくなります。その結果、長期間の目線で見た場合、(2)の方法よりもパフォーマンスがかなり落ちるのではないかと感じます。
筆者は、デイトレードなどの短期投資ではなく、中長期投資での株式投資で大きく利益を得るためには、株価が大きく上昇する時期である「大相場」でしっかりと大きな利益を確保することが最も重要と考えています。
そのためには、小さい利益は無視し、下落相場では損失を膨らませないよう耐えしのいで大相場で大きな利益を獲得する、というスタイルが適しているのではないでしょうか。