注目を集め始めたライトニングネットワーク

 ビットコイン取引において、今注目を集めているのがライトニングネットワークという技術です。

 ライトニングネットワークは、ミリ秒という単位で何千もの取引処理が可能になり、手数料の大幅な削減ができ、1satoshi単位(ビットコインの最小単位、0.00000001 BTC)での少額支払いができる、そんな潜在能力を秘めた技術です。

 

背景にビットコインのスケーラビリティ問題

 ライトニングネットワークへの注目が高まっている背景には、ビットコインの持つ取引処理能力の限界という問題があります(スケーラビリティ問題)。ビットコインの取引情報を記録するブロックチェーンの容量(単位は1ブロックといい、1ブロック生成に10分ほどかかります)には限りがあり、取引量が増えるとその限界を超えてしまう危険があるのです。

 仮想通貨市場の急激な拡大に伴い、ビットコイン取引量も劇的に増えましたが、処理が追い付かず送金に時間がかかったり、速い処理を望む場合は高い手数料を設定しなければならない等、仮想通貨取引本来の即時送金、手数料の安さといったメリットが薄れてしまっていました。ライトニングネットワークは、その解決策として期待されています。

 

ライトニングネットワークの仕組み

 ライトニングネットワークとは、ビットコインのブロックチェーン上にすべての情報を載せるということなく取引処理を行う技術です(オフチェーン処理)。そのネットワークでトランザクション(取引)を行い(オフチェーン処理)、最終的なトランザクションのみをブロックチェーンに記録します。

 簡単に仕組みを説明すると……参加するピア(端末間の相互直接接続のこと。P2P方式と呼ばれる)にライトニングネットワークでペイメントチャネル(支払の経路)を開きます。ここに、ある特定の期間を設定して取引を支払い事実のみがブロックチェーンに記載されます。

 期間内にもっとも最後の送金が行われた際の双方の取引後の残高の情報だけをブロックチェーンで処理するため、最初に触れた「送金速度アップ、手数料減少、少額送金」が実現できるのです。

 また、ライトニングネットワークでは、誰にでも、どこにでも上のようなペイメントチャネルを利用した高速で手数料の少ない送金が可能になります。経由する相手が信用できる相手なのかどうか不安に思われるかもしれませんが、第三者への信用を必要とせずとも成り立つというブロックチェーン技術のメリットの上に成り立っているため、トラストレス(信頼を担保する存在を必要としない環境)で取引が可能です。

 

実装までは時間がかかる?

 ライトニングネットワークの実装が叶うかどうかは、いくつかの懸念や技術的な課題がありますが、2018年には技術の実装へ向けて大きな前進があるのではないかと期待されています。もしも実装されれば、ビットコインの送金システムが飛躍的に便利になる可能性があります。