〔優待名人・桐谷広人さんスペシャルインタビュー:特集ページ

薬代に困り、持病の「治験」で新薬をもらう

 信用取引の「買い」(「売り」はやらない)ポジションで大もうけを企てていた株主優待名人・桐谷広人さんは棋士を引退した翌年、リーマンショックに直撃されて赤貧生活を余儀なくされました。株の配当や優待でもらった金券を換金して毎月引き落とされる13万円の家賃と公共料金に充てると、残金はほとんど0円という日々。どのくらい悲惨だったのかというと……。

「保存液が買えないのでコンタクトレンズをやめました。それならまだいいのですが、医療費が払えないため持病の薬をもらうことができないので、やむなく『治験』に応募しました。治験とは厚生労働省に新しい薬を承認してもらうために行う臨床試験のことで、持病の薬がただで飲めて3,000円ほどの交通費がもらえるのですが、不況のせいで応募者が多いんです。3カ月で交代させられました」

 持病の薬が飲めないのは困りますが、もっと困るのは日々の食事。

「ご飯は優待品のお米でまかなうことができました。お米の優待株を買っておいて助かった。おかずは豆腐です。なぜ豆腐なのか? 大豆加工品小売りの篠崎屋(東証2部2926)が当時、優待品として半年に1回2500円分の豆腐の引換券をくれたのです(現在は廃止)。実家に届いた分も送ってもらい、年間2万円分の豆腐を食べていました。自宅の近所には引き換えられる店がなかったので、自転車で都内を走り回りました」

 優待品だけで暮らす耐乏生活が数年続いた後、2013年のマツコ・デラックスさんのテレビ番組「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)に「優待品をもらうため自転車で爆走する桐谷さん」が登場して大ブレークしたのですが、そのルーツは豆腐屋探しにあったのです。