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ハイイールド債より高利回り、REITより高成長!今、注目のMLPとは
吉井 崇裕
ファンド分析レポート
投資信託の販売や運用、評価分析などを幅広く経験したファンドアナリスト吉井崇裕が、様々な投信をリサーチ。毎回、話題となっている投資テーマや、個別ファンドをクローズアップして解説いた…

ハイイールド債より高利回り、REITより高成長!今、注目のMLPとは

2014/7/17
リーマンショック以降、市場類を見ない大規模な金融緩和策に支えられ、米国経済は緩やかな回復基調にある。これに伴い、株式、REIT、ハイイールド債券といったリスク資産の価格が上昇してきたが、長引く低金利環境下で利子や配当金の利回り水準の魅力は薄れてきている。こうした環境下、高い配当利回りと安定した配当成長で注目を集めているのが「MLP(エムエルピー)」という資産クラスだ。分散投資における新しい資産クラスとしてポートフォリオに加えてみてはいかがだろうか。
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MLPとは?

MLPとは、マスター・リミテッド・パートナーシップ(Master Limited Partnership)の略称で、米国で行われている共同投資事業形態のこと。MLPが関わる事業は様々だが、主な投資対象となるのは石油・天然ガスの精製、備蓄、輸送(パイプライン)施設などエネルギー・インフラに関わる事業である。多くの場合、施設利用料などを長期契約することで安定的に収入を得ているため、景気の影響を受けにくいといわれている。

(出所:日興アセットマネジメント)

MLPの魅力とは?

魅力①高い配当利回り、配当成長率

MLPは、収益の大半を配当として支払うことを方針としていることから、他の資産クラスと比べて利回り水準が高い傾向にある。また、MLPは年間の配当金の変化を表す配当成長率が高く、今後も天然ガスや石油の増産が見込まれることから配当金の安定的な成長が期待されている。配当利回りと配当成長率を合わせた期待リターンは米国の主要な資産クラスのなかでもトップクラスにある。

図:米国の主要資産クラスの利回り水準と配当成長率の予想

(出所:野村アセットマネジメント)

図:MLPの配当成長率の推移

(出所:ドイチェ・アセット・マネジメント)

魅力②米国REITに次ぐ市場規模、シェール革命でさらなる市場拡大

MLPはエネルギー版REITとも呼ばれ、米国では1980年代から個人投資家を中心に資金を集め、株式、債券、REITといった代表的な資産クラスと同じく、分散投資に欠かせない資産クラスとして広く認知されている。2014年4月末現在、MLPの時価総額は6,498億米ドル(約67兆円)に達している。米国ではREIT市場(時価総額7,882億米ドル=約81兆円)に次ぐ規模にまで成長し、特に安定したインカムが得られる投資対象として注目されている。シェール革命などによる石油・天然ガスの増産を背景に今後も市場規模が拡大することが予想される。

図:米国におけるMLPとREITの時価総額推移

(出所:レッグ・メイソン・アセット・マネジメント)

図:MLPと米国REITの比較

(出所:ドイチェ・アセット・マネジメント)

魅力③相対的に良好なパフォーマンスと低いリスク

MLPは、相対的に高い配当利回りと配当成長率をリターンの源泉として、他の資産クラスを上回る実績を残してきた。また、値動きの大きさ(価格変動リスク)を表す標準偏差は、米国REITよりも低い数値を残しており、リターン効率の高い資産クラスといえる。

図:MLPと主要資産クラスのトータルリターン推移

(※MLPはアレリアンMLPインデックス、米国リートはEPRA NAREIT米国インデックス、米国株式はS&P500種、米国ハイ・イールド債はBofAメリルリンチ米国ハイ・イールド社債インデックス、米国国債はシティ世界国債アメリカインデックスを使用しています。)

(出所)ドイチェ・アセット・マネジメント

図:MLPと主要資産クラスのリスク

(※算出期間(2002年12月末~2012年12月末)。MLP:アレリアンMLP指数、米国株:S&P500指数、米国リート:FTSE/NAREITオール・エクイティ・リート指数)
米国HY債:バークレイズ米国ハイイールド社債指数、米国債:バークレイズ米国債指数
(出所:レッグ・メイソン・アセット・マネジメント)

ファンドアナリスト吉井が楽天証券取扱いのMLP関連ファンドを解説!

2014年7月現在、楽天証券取扱いのMLP関連ファンドは9本ある。タイプ別に分けるとMLPを主な投資対象とするアクティブファンドが4本、インデックスファンドが2本。MLPのほか米国高配当株や米国REITに分散投資するファンドが3本ある。以下、タイプ別に説明しよう。

MLPに投資するアクティブファンド(4本)

野村アセットマネジメントが設定する「米国エネルギー革命関連ファンド」は、決算回数(毎月決算、年1回決算)と為替リスクの有無(為替ヘッジあり、為替ヘッジなし)で4本のラインナップがある。実質的な投資判断は、レッグ・メイソン傘下のクリアブリッジ・インベストメンツが行う。同社は、米国で45年以上の歴史を持つ株式運用に特化した運用会社だ。特に、MLPの運用では米国でもトップクラスの残高を有する。徹底的な銘柄分析に基づき、長期的な視点に立ち運用を行っており、ポートフォリオの回転率が低いのが特徴だ。ファンドマネジャーは、ボーナスの一部で自分が運用するファンドを購入しなければならないこととしており、投資家と同じ目線を持ちながらパフォーマンスの向上に努めている。当ファンドの直近のポートフォリオ(2014年5月末時点)は26銘柄に投資しており、配当利回りは年率5.0%程度と他社ファンドと比較して高い水準の利回りとなっている。

MLPに投資するインデックスファンド(2本)

  • インデックスファンドMLP(毎月分配型)
    ETN(指標連動証券)やETF(上場投資信託)を通じて、「S&P MLP 指数(円換算ベース)」の動きに連動する投資成果を目指す。連動対象となる「S&P MLP 指数(円換算ベース)」は66銘柄に投資しており、当ファンドのポートフォリオの配当利回りは年率4.05%(2014年6月末時点)となっている。インデックスファンドであることから信託報酬率は年率0.81%(税込)とMLP関連ファンドのなかで最も低い水準であることが魅力だ。
  • 米国エネルギー・ハイインカム・ファンド
    「SGI PGS MLP Top 20 Index」のパフォーマンスにより価格および償還価額が変動する米ドル建て債券(パフォーマンス連動債)に投資。連動対象となる「SGI PGS MLP Top 20 Index」は、配当成長率の勢い(モメンタム)の観点から厳選された上位20銘柄のMLPに均等配分する指数。信託報酬率は年率1.215%(税込)。なお、当ファンドが直接支払うことはないが、パフォーマンス連動債の管理費用として年率0.3%と3万米ドル(上限、年間)がかかり、当ファンドの基準価額に反映される。MLP関連ファンドのなかで唯一ノーロード(販売手数料無料)であることが魅力だ。

MLP、米国高配当株、米国REITなどに分散投資するファンド(3本)

三井住友トラスト・アセットマネジメントが設定する「アメリカ高配当株オープン」は、「LM・米国高配当株ファンド(適格機関投資家専用)」を通じて、MLPに40%程度、米国高配当株に60%程度の割合で分散投資している。「LM・米国高配当株ファンド(適格機関投資家専用)」を実質的に運用するのは、上述のクリアブリッジ・インベストメンツだ。

一方、日本アジア・アセット・マネジメントが設定する「米国・シェールMLP・高配当株ファンド」は、「LM・アメリカ高配当株ファンド(毎月分配型)(適格機関投資家専用)」を通じて、MLPに40%程度、米国好配当株に50%程度、米国REITに10%程度の割合で分散投資している。実質的な運用を行うのは、同様にクリアブリッジ・インベストメンツだ。

上記3ファンドはいずれもクリアブリッジ・インベストメンツが実質的な運用を行っているが、販売手数料、信託報酬率とも「米国・シェールMLP・高配当株ファンド」のほうが若干ながら低くなっている。あとは、分配金の支払い頻度で選ぶのが良いだろう。

<番外>今後取扱い予定のMLPファンド(2本)(8月15日取扱い開始)。

  • 米国MLPファンド(毎月分配型)Aコース(円ヘッジなし)
  • 米国MLPファンド(毎月分配型)Bコース(円ヘッジあり)

ドイチェ・アセット・マネジメントが設定する「米国MLPファンド(毎月分配型)」は、為替リスクの有無で2本のラインナップがある。実質的な運用を行うのは、ドイツ銀行グループのRREEF・アメリカ。同社は、MLPをはじめとしたインフラストラクチャー関連証券およびREITの運用に特化した運用会社だ。

MLPの魅力は、高い配当利回りと安定した成長性にあり、分散投資の1アイテムとして是非ともポートフォリオに加えてもらい資産クラスといえる。一方、どのファンドが運用力で優れているかといった観点では、設定からまだ日が浅いため、運用実績から判断するには時期尚早だ。運用の優劣がつかない場合のファーストチョイスとしては、運用コストが低いインデックスファンドを選ぶのがセオリーといえるだろう。あとは、共感できる運用方針であるか、決算回数は自分のニーズに合っているかといった観点で選ぶと良いだろう。

<楽天証券取扱いのMLP関連ファンドの運用実績>

ファンド名 運用会社 純資産総額(百万円) 1カ月
騰落率
3カ月
騰落率
6カ月
騰落率
1年
騰落率
米国エネルギー革命関連ファンド Aコース(為替ヘッジあり) 野村 7,865 5.01% 12.42% 13.55% 14.33%
米国エネルギー革命関連ファンド Bコース(為替ヘッジなし) 野村 67,824 4.66% 11.78% 10.30% 18.53%
米国エネルギー革命関連ファンド(年1回決算型)為替ヘッジあり 野村 221 4.99% 12.28% 13.31% --
米国エネルギー革命関連ファンド(年1回決算型)為替ヘッジなし 野村 1,702 4.66% 11.66% 10.57% --
インデックスファンドMLP(毎月分配型) 日興 32,570 6.90% 13.98% -- --
米国エネルギー・ハイインカム・ファンド リクソー 2,618 4.64% 10.36% 10.34% --
アメリカ高配当株オープン(毎月決算型) 三井住友TAM 729 2.81% 4.02% 2.79% 17.58%
アメリカ高配当株オープン(年2回決算型) 三井住友TAM 252 2.84% 4.10% 2.95% 17.81%
米国・シェールMLP・高配当株ファンド 日本アジア 3,349 2.60% 4.03% 3.06% --

(出所:ISIDフェアネスのデータをもとに楽天証券が作成)

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