株式投資で悩むことの1つが、「株をいつ買うのか?」。でも悩んだところで正解はわかりません。今回は筆者が決めて実行している「ルール」についてご紹介します。

 

株式投資で必要な3つのこととは?

 筆者は常日頃から、株式投資で必要なことは以下の3つであるとお話ししています。

・どの銘柄を買うか(銘柄選び)
・いつ買うか(買いのタイミング)
・いつ売るか(売りのタイミング)

 多くの個人投資家の方は、これ以外のことをつい考えてしまいがちです。日経平均株価や為替レートが今後どうなるか、ここまで日経平均株価が大きく上昇したのに果たしてまだ上がるのか、北朝鮮問題をはじめとした地政学リスクがどうなるか…
 でも、そうした「将来のこと」は、いくら考えても結論は出てきません。それどころか、予想を立てて行動した結果、その予想が外れることにより利益を得る機会を失ったり、大きな損失を被ることにもなりかねません。

 実際、今年9月~10月にかけて日経平均株価が大きく上昇しましたが、この間北朝鮮からのミサイル問題などが気になり、上昇相場に乗ることができなかった個人投資家は非常に多かったようです。

 でも、やることを上記の3つに絞っておけば、たとえニュースが北朝鮮の話題一色であっても、「買い時になったら買い、売り時になったら売る」ことができます。結果、利益を得ることにつながります。
 今回のコラムでは、そのうち「いつ買うか」について、筆者が普段からどのように考え、実行しているかをお話ししていきます。

 

売買のタイミングを計っても意味がない?

 はじめに、巷で言われているあることについて、筆者の見解をお伝えしておきたいと思います。それは、「株式投資・資産運用において、売買のタイミングは投資成果にほとんど影響を与えない」というものです。
 ファイナンシャル・プランナーの勉強をすると、この話が出てきます。タイミングを計って安く買い高く売ることはできない、だから「長期分散投資をしましょう」というのが、ファイナンシャル・プランナーの世界では正解となっています。

 しかしそれは、年金資金など、大きなお金を長期間運用する場合の話であって、個人投資家に対しては当てはまらない、というのが20年近く株式投資をしてきた筆者の結論です。

 改めて筆者の過去を振り返ってみると、適切なタイミングで買い、そして売ることでしっかりと利益を確保することもできましたし、大きな損失を回避することもできました。
 もし、売買のタイミングを計らずに株式投資をしていたなら、筆者はこの世界で生き残ることはできなかったと思います。

 少なくとも個人投資家が行う株式投資においては、いつ買っていつ売るか、という売買のタイミングを見計らうことが、投資成果に大きく影響するというのがまぎれもない事実です。
 タイミングを計らずに欲しい株をなんとなく買ってしまうのは危険な行為です。買うタイミングが悪ければ、たとえ優良株であっても損失を被ってしまう恐れがあります。

ではどうすればよいのでしょうか。筆者は機械的に売買のタイミングを見計らっています。株価チャートを用いて、「上昇トレンド」になったら買うようにしているのです。

 

なぜ上昇トレンドになったら買うのか?

 筆者が定義する上昇トレンドとは、株価が25日移動平均線を上回っている状態を指します。そして、株価が明確に25日移動平均線を上回ったときが、上昇トレンドへの転換点となります。

 では、なぜ筆者は上昇トレンドになったら株を買っているのでしょうか?それは「誰かが実際に買った結果、上昇トレンドになっている」からです。

 25日移動平均線を株価が超えてくるには、当然ながら株価が上昇する必要があります。株価が上昇するということは、売り手より買い手のほうが多いことを意味します。

 そして今の日本株の売買シェアはおよそ7割が外国人投資家です。機関投資家や、投資信託のファンドマネージャーなど、プロと呼ばれる投資家を含めると、大部分が外国人もしくはプロの投資家の売買で占められています。
 ということは、彼らの売買によって株価が動くといっても過言ではありません。

 つまり、25日移動平均線を株価が超えてくるというのは、外国人やプロがその銘柄を実際に買い上がった結果と推測することができるのです。
 ここでのポイントは、「業績が伴っている銘柄」を投資対象とする、ということです。

 

外国人やプロ投資家はテーマ株を基本的に投資対象としない

 株式市場には、その時々で盛り上がっている「テーマ」があります。最近であれば仮想通貨関連、AI、自動運転などに関連した銘柄が短期間に大きく値上がりしました。
 個人投資家は、こうしたテーマに関連した銘柄、つまり「テーマ株」を好みます。特に短期売買を志向する投資家は、株価が大きく動く銘柄を好みますので、テーマ株に群がります。

 でも、こうした「テーマ株」は、将来の期待感で買われているだけです。足元の業績の裏付けはありません。
 こうした銘柄には、外国人投資家やプロなど中長期投資を志向する投資家はほぼ参加していません。

 一時的な話題性により買われる銘柄は、短期的には大きく上昇することもありますが、すぐに株価が下落して元に戻ってしまうことが多く、中長期投資には不向きだからです。

 一方、業績が伴っている銘柄は、ファンダメンタルの面からみて十分魅力的であるため、外国人やプロ投資家が投資対象としています。こうした銘柄の株価が上昇トレンドとなれば、彼らが買っている可能性が高くなります。

彼らは今後株価が上昇する可能性が高いと踏んで買い上がっているわけですから、その波に乗ろう、というのが上昇トレンドの銘柄を買う趣旨です。

 以上をまとめると、筆者の買いタイミングは、「足元の業績が伴っている成長株ないしは割安株」の株価が「25日移動平均線を上回っているとき」となります。
こうしてみると、どの銘柄に投資するかはともかくとして、買うタイミングは非常に客観的かつ明確であることがおわかりいただけるはずです。

 将来のことをいくら考えてもわからない、それならば客観的かつシンプルなルールで買い時を見極めよう、というのが筆者の考え方です。