ETF(Exchange Traded Fundの略)は、株価指数などの各種指数に連動することを目的に運用される投資信託の一種で、証券取引所に上場されています。日本では「株価指数連動型上場投資信託」と呼ばれています。TOPIXや日経平均株価といった代表的な株価指数に連動するETFや、銀行、電機などの業種別指数に連動するETFなどが日本で上場しています。

 

ETFの仕組み

 ETFは、資産運用会社が、年金基金などの機関投資家や「指定参加者」と呼ばれる証券会社から、TOPIXや日経平均株価など連動の対象とする株価指数の構成に近い株式バスケット(ユニット化された現物株式)を募集し、そのかわりに受益証券を発行する仕組みになっています。一般の個人投資家は、発行された受益証券を取引所で自由に、しかも小口から売買できるようになっています。
ETFは、一般の投資信託と異なり、資金の出入りがなく、ユニット化された現物株式と受益証券の交換だけが行われることから、ポートフォリオの中で発生する株式の売買コストを抑えることができます。

 

ETFの特徴

 ETFのメリットとしては、取引所に上場していることから、株式と同様にリアルタイムでの売買が可能だという点が挙げられます。株式と同様の扱いなので、「成行」や「指値」での注文もできますし、信用取引を行うこともできます。通常の投資信託が1日に1度発表される基準価額でしか売買できないことと比べると、売買タイミングをはかれるという点では有利といえるでしょう。
また、保有コスト(信託報酬)が通常の投資信託に比べて安いのも特徴のひとつです。通常のインデックス・ファンドの信託報酬が0.5~0.6%程度であるのに対して0.1~0.2%程度と低くなっています。
さらに、個別株式に比べてリスクの分散効果がある点や、TOPIXや日経平均株価などの各種株価指数に連動することを目的に運用されるため、値動きや損益の把握が容易である点もメリットです。
一方、デメリットとしては、取引所での売買であることから、市場の状況によっては、売却したくても売れないケースが起こり得ます。また、流動性(売買高)が極端に低い状態が続いた場合は、上場廃止の可能性もあります。さらに、分配の再投資ができない点、小額の積立投資が行いにくい点などもETF の難点といえるでしょう。

 

内外のETFの違い

 国内の取引所に上場しているETFと海外の取引所に上場している海外ETFの違いは、品揃えの差にあります。海外では数多くのETFが上場しているのに対して、日本ではETFの種類が圧倒的に少ないというのが現状です。海外では、債券やコモディティ、不動産などの指数に連動するETFも数多くありますが、日本で「金」のETF、中国(上海)や韓国の株価指数に連動するETFなどが加わったのは最近のことです。
また、海外ETFは外貨建てなので、売買には為替手数料が掛かりますし、「外国証券取引口座」を開く必要があることから、証券会社によっては、「外国証券取引口座管理料」を徴収するところもあります。その点、国内のETFでは、そのようなコストは発生しないので、国内でのETFの品揃えが充実すると、利用者にとっての利便性が増すことになります。