10年本決算は14%増益、原油高を背景に生産部門と精製部門が明暗

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00386 中国石油化工(チャイナ・ペトロリアム・アンド・ケミカル)  7.69 HKD
(03/29現在)
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シノペックの2010年12月本決算(国際会計基準)は、純利益が前年比14%増の718億元と、BOCI予想を8%下回った。資産減損損失145億元の計上が響いたためで、この要因を除いたコア利益は予想をやや上回った。減損損失145億元のうち63億元はA株上場子会社3社の全面買収、非公開化に伴うのれん代償却費が占め、残りは各部門の固定資産評価損によるものだった。

同期のコア利益の伸びを支えたのは、石油探査・生産部門の営業利益が前年比97%の472億元に急増したこと。石油実勢販売価格が同43%高の1バレル当たり70.9米ドルに達したことや、天然ガス生産量の48%の拡大などが大幅な部門増益を後押しした。一方、石油精製部門は42%の営業減益。原油相場が高騰する中、中国政府当局による石油製品値上げのタイミングが遅れ、値上げ幅も原油相場の上昇率より小幅にとどまったことが響いた。その他の各事業部門は1桁台の営業増益だった(減損損失計上後)。

また、同期の増益決算をけん引した探査・生産部門にしても同業銘柄に比べて見劣りする内容となり、10年の埋蔵量置換率(石油換算確認埋蔵量の増加量を石油換算生産量で割った値)はわずか91%。期末の確認埋蔵量は前年同期比1%減少した。BOCIは原油高騰が見込まれる中、置換率が低水準にとどまることには不満が残ると指摘している。

同社の11年の年産目標は、天然ガスが前年比13%増、製油部門が同5%増で、原油は1%減。原油高を背景に11年も探査・生産部門が業績に寄与するが、製油部門が決算動向を決める可能性が高い。政府が石油製品の価格決定メカニズム(国際原油相場との連動型)を履行するかどうかが、製油部門の業績を左右する最大の要因となる見通しだ。

同社は今回初めて、第12次5カ年計画(11-15年)期間中の生産目標を発表。天然ガス生産量を今後5年間で60-92%拡大する方針を示した。また石油製品の年産量を29%増やす計画だが、原油生産量目標は5年間でわずか2-6%増にとどめた。

国際原油相場は中東・北アフリカ情勢の緊迫化を受けて上昇しており、BOCIは原油相場が当面高止まりするとの見方。11年、12年のブレント原油平均価格に関する想定値を1バレル当たり104.9米ドル(修正前94米ドル)、102米ドル(同94米ドル)に上方修正し、長期の原油価格の予測値を94米ドルから97米ドルに引き上げた。一方、中国国内の石油製品価格については4月1日付で1トン当たり350元の追加値上げを見込み、12年4月、13年4月にそれぞれ同300元、200元の値下げを予測している。

BOCIは同社決算発表と原油・石油製品価格の想定値見直しに伴い、11年の利益見通しを5%下方修正。11年、12年の希薄化後EPSの前年比伸び率が1桁台後半となる見通しを示した。これに伴い目標株価をやや下方修正しながらも、同社株価の先行きに対して強気の見通しを継続している。