10年本決算は45%増益、利ざや改善で10-12月期に前期比2桁増益

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01988 中国民生銀行股フン有限公司(チャイナ・ミンシェン・バンク)  7.06 HKD
(03/28現在)
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中国民生銀行の2010年12月本決算は、純利益が前年比45.2%増の175億8000万元に達し、市場コンセンサス予想を10%上回った。特に10-12月期の純利益が前四半期比10.5%増となる45億7400万元に達した。利ざやの拡大を受けて純金利収入が同8.4%増加したことや、引当金が36%減少したことなどが2桁利益成長に寄与した。

10-12月期の利ざやは前四半期を8ベーシスポイント上回る2.95%。主に◇信用引き締めを受けた貸し手側の金利決定能力の向上◇融資構成の調整の進展――が利ざや改善を後押しした。過去1年間の融資構成を比較すると、手形割引のウエートが縮小し、10年末には貸付総額の1.1%まで低下。一方、個人向けローン業務「商貸通」が急成長し、下期だけで717億元増。期末の「商貸通」貸付残高は全体の15%に当たる1590億元に達した。対照的に住宅ローン残高は減少。ローン金利の低さや中国政府の不動産過熱抑制策を背景に、銀行が住宅ローンの引き締めに動いたことが影響したとみられる。

手数料収入は下期にやや減速したものの、10年通期では前年比77.7%増の83億元に達し、好決算の一因となった。財務・コンサルタント手数料、カストディー・その他信託業務、決済サービスがいずれも同80%以上の伸びを記録した。

同行は資産の継続期間が短く(相対的に短期の貸し付け比率が高い)、この点が利ざや改善に大きく寄与した。BOCIは信用引き締めや銀行サイドの金利決定力の高さを理由に、この傾向がより高いリターンにつながるとの見方。また、3カ月以内に満期を迎える、あるいは金利の再設定が可能な預金の割合は10年末に70%と前年同期の81%から低下。この点も預金利払い負担の軽減に寄与する見通しを示した。

同行は2月末までに資金調達計画の見直しを完了。資本増強に向け、A株転換社債およびH株増資で300億元弱を調達する方針を明らかにした。転換社債が13年までに全数転換された場合、コア自己資本比率は約10%を維持する見込み。

一方、BOCIは同行の懸念材料として資金コストの増大を挙げた。期末の預金残高は前年同期比25.6%伸びたものの、預金獲得競争の激化を背景に小口貯蓄預金の伸び率が減速したこと(19%増)、普通預金など要求払預金の比重が低下したことなどを指摘した(09年末の48.6%に対して10年期末に46%)。もう一つの懸念材料は引当金。現時点では信用リスクに問題はないとし、不良債権引当率が期末に270%に達したことに言及しながらも、貸出総額に対する引当率が1.87%へやや低下したことや不動産関連融資の比重が上昇傾向を示したことなどに言及した。

BOCIは利ざやの拡大や収益力の向上を前向きに評価し、11-12年の予想EPSを0.82元(修正前0.76元)、0.91元(0.86元)に上方修正。これに伴い目標株価を引き上げ、株価の先行きに強気見通しを継続している。