10年本決算は26%増益、利ざや拡大ペースはこの先減速か
現地コード | 銘柄名 | 株価 | 情報種類 |
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00939 | 中国建設銀行(チュウゴクケンセツギンコウ) |
7.32 HKD (03/28現在) |
株価 企業情報 チャート |
中国建設銀行の2010年12月本決算は、純利益が前年比26.3%増の1348億4000万元と、ほぼBOCIの予想通りの水準だった。純金利収入の伸びがわずかに予想に届かなかったことで経常収益は予想を小幅に割り込み、簿外損失向けの引当金計上を受けて全体の引当額も予想を上回ったが、税率が低率にとどまったことが純利益の予想水準達成に寄与した。10-12月期の純利益は243億5000万元で、純金利収入は利ざや改善を背景に前四半期比7.7%増。純手数料収入も前四半期比16%の伸びを示した。
利ざやは四半期ベースで上昇トレンドを維持しており、BOCIの推定によれば、4-6月期に前四半期比6ベーシスポイント増、7-9月期に同10ベーシスポイント増と加速し、10-12月期には同12ベーシスポイント増の2.62%に達した。資金コスト面での優位性が背景。全預金に占める要求払預金(普通預金など)の比率が期末に56%と、6月末比で1ポイント上回ったことに加え、下期の金利決定力の向上などが寄与した。ただ、BOCIは融資構成に大幅な改善がみられないことを理由に、利ざやの先行きに対して慎重見通しを示している。10年通期の新規法人向け貸し付けに占める中長期貸し付けの比重の高さなどから、金利の再設定が相対的に難しいと指摘。この先の利ざやの伸びが同業銘柄を下回る可能性を指摘している。
同行は10-12月期だけで160億元の貸倒引当金を計上し、貸出総額に対する引当率は2.52%に上昇。銀行当局が求める2.5%の基準を、期限より前倒しでクリアした。また、期末の不良債権額は647億1000万元、不良債権比率は1.14%と、6月末比でそれぞれ4億6000万元、0.08ポイント縮小した。不良債権引当率は221.1%と、4大国有商業銀行の中で最も高い水準に達したとみられている。
一方、純手数料収入は10年通期に前年比37.6%増の661億3200万元に上り、経常収益に占める割合は前年の18%から20.44%に上昇した。中でもカード手数料、決済手数料、資産運用手数料が大幅な伸びを示した。
BOCIは◇不動産開発向け融資の比重に低下傾向がほとんどみられず、10年下期に7.1%の水準に達した◇個人向け不動産ローンの比重が期初比で28%上昇し、通期の新規貸し付けの28.1%を占めた――点を指摘。不動産関連融資のウエートが期初の25.4%から期末には26.4%に上向いたことで、不動産市況の変動に伴うリスクがより高まったとし、この点を懸念要因として指摘している。
BOCIは11-12年の利益見通しと目標株価を据え置く一方、株価の先行きに対する従来の強気見通しを中立的に修正した。利ざやの伸びが同業銘柄より緩やかなペースにとどまる見通しに言及し、現在株価の11年予想PBR(株価純資産倍率)が2倍と、中国農業銀行(01288)、中国銀行(03988)を上回る点を指摘している。