出店加速を背景に収益見通しを楽観、コスト管理力や価格力を評価
現地コード | 銘柄名 | 株価 | 情報種類 |
---|---|---|---|
00538 | 味千(中国)控股有限公司(アジセン・チャイナ) |
14.7 HKD (03/25現在) |
株価 企業情報 チャート |
味千(中国)のアナリストミーティングを受け、BOCIは同社の収益見通しを楽観し、値上げや消費の拡大が既存店売上高の伸びを支える見通しを示した。同社のような低価格レストランにとっては、中国国内での最低賃金基準の引き上げが追い風になるとの見方。また、サプライチェーンの末端にある外食店はインフレ抵抗力が強いとみている。同社は昨年3月にに2-3%、11月にはさらに8-9%の値上げを実施。今後はより生産効率が高い中小型店舗を増やす方針であり、この点も既存店売上高の伸びに寄与する見通しとなった。同社の既存店売り上げ伸び率は10年上期に中国本土で6.8%、香港で0.6%だったが、10年通期にはそれぞれ8.7%、2.8%に加速。中でも本土では10年下期に10%に達したとみられている。BOCIは本土、香港の既存店売り上げ伸び率に関する2011年の想定値を9.0%(修正前5.0%)、3.0%(0.3%)に上方修正。12年にはそれぞれ5.0%、1.0%、13年には3.0%、0%になると予測している。
同社は2度の値上げにみられるように価格決定力が高い。また、粗利益率がもともと高水準にあり、売上原価に占める各種原材料の割合が小さいことなどから、原材料高騰に対する抵抗力も相対的に強い。さらに、今後は調達窓口の一元化や材料の多様化を通じて原材料の高騰に対処していく見込み。経営陣によれば、値上げによるコスト増の吸収で、11年の粗利益率は前年並みを維持する見通しという。BOCIは11年から13年まで、粗利益率が69.1%の高水準を維持するとみている。
ファストフード・ビジネスは後方支援施設とブランド知名度がそろった後の拡張性が高く、同社は過去2-3年にわたって急速に店舗網を拡大した。10年には新たに110店舗を出店し、年末時点の店舗総数は508店。すでに27省・市・自治区の86都市に店舗網を広げた。11年にはさらに150店舗を出店し、向こう4年以内に店舗総数1000を目指す方針。同社の意欲的な出店計画を受け、BOCIは店舗数に関する想定値を11年末に648(修正前640)、12年末に788(同760)に上方修正した。同社はまた、店舗網拡大を支えるために、現在2カ所の生産施設を6カ所に増やす計画。これが全面稼働した後には、1500-1800店舗を支援することが可能になるという。
同社は力強い売り上げ伸び率を持続する一方で、コスト管理にも成功している。百貨店やショッピングモール、スーパー、コンビニなどとの戦略提携が、店舗賃貸における有利な条件や賃料の安定化につながっている。BOCIは最低賃金基準の引き上げを受けた人件費の高騰を見込みながらも、店舗賃料、償却費、その他営業経費の対売上高比率が低下すると予想。うち賃料コストの対売上高比率については、10年の13.7%から11年には13.3%、12年には12.8%に下向く見通しを示した。
BOCIは同社の2011-12年の利益見通しをそれぞれ11%、19%上方修正し、株価の先行きに対する従来の中立的な見方を強気に引き上げている。