10年本決算は67%増益、非電力部門が収益貢献拡大へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00991 大唐国際発電(ダータン・インターナショナル・パワー)  2.77 HKD
(03/23現在)
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大唐国際発電の2010年12月本決算は、純利益が前年比67.2%増の26億元と、BOCIの予想を7.8%、コンセンサス予想を23.6%上回った。主に石炭販売コストが同44.6%減少したことや、関連会社・合弁会社による7億1900万元の利益寄与、1億200万元に上る一回性利益の計上が好決算に寄与した。売上高は26.6%増の607億元。

同期には総経費に占める燃料調達費の割合が6割に上り、燃料コストは1メガワット時(MWh)当たり26元増加した。標準型石炭価格が1トン当たり85.54元(14-15%)値上がりしたことが背景。石炭高騰を受け、EBITDA(金利・税引き・償却前利益)マージンは前年の29.6%から27.3%に低下した。ただ、今後は石炭の社内調達比率が上向く見込み。BOCIは同比率が10年の17%から11年には21.7%、15年には45%強に拡大するとし、11年の単位石炭コストについては前年比3.5%増を予測している。

連結換算、権益持ち分換算の発電容量は10年末に前年比18%増の36.3ギガワット(GW)、25GW。10年の新規稼働分は5.6GW。また、10年には総容量6.1GWの新規プロジェクト7件が認可され、うち2.6GWが水力発電。経営陣はクリーンエネルギーの比重を15年に20%超に引き上げる方針(10年は12%)。中国南東部で石炭火力発電、南西部で水力発電施設の比重を増やしているが、水力発電は利幅が相対的に高く、BOCIはこうした動きが電力部門の利益率向上につながるとの見方。水力発電容量が10年の4GW(全体の10%)から12年には6GW(14%)に拡大する見通しを示した。

経営陣によれば、11年には電力卸売量が1920億キロワット時(kWh)に拡大するのに伴い、売上高が前年比23%増の750億元に達する見込み。10年には石炭高騰を背景に、国内全体の発電所の約3分の1が赤字化したとみられるが、こうした状況は11年も続く見通しという。ただ、経営陣は東部での水力発電所やコージェネレーション施設の新規稼働などが、厳しい事業環境下で同社の利益能力を底上げするとみている。

一方、経営陣は発電以外の事業部門の売上構成比、利益構成比を15年に35%、50%以上に引き上げる計画。11年には最大10万トンのアルミナ生産が見込まれ、各地で石炭化学プロジェクトが進行中。同社の石炭生産事業は電力銘柄の中で最も大きい。

同社の負債比率は10年末に82%、純負債比率は379.7%の高水準に達した。09-10年の正味金利コストはEBIT(金利・税引き前利益)の58-61%と、電力銘柄の中では2番目の高水準。BOCIは年間200億元に上る設備投資計画を実現できるかどうかは、年内のA株第三者割当の成功にかかっていると指摘している。

BOCIは非発電事業の収益貢献の拡大や新規施設の稼働に伴う発電量の伸びを見込み、11-12年の予想純利益を24.2%、26.2%上方修正した。これに伴い目標株価を引き上げ、同社株価の先行きに中立的な見方を継続している。