10年本決算で予想を上回る28%増益、ERP市場の拡大を背景に収益成長加速へ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00268 金蝶国際軟件集団有限公司(キンディー・インターナショナル・ソフト)  5.13 HKD
(03/16現在)
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金蝶国際軟件集団の2010年12月本決算は、売上高が前年比44.1%増の14億3600万元、純利益が同27.9%増の2億7100万元に達し、それぞれ市場コンセンサス予想を16%、22%上回った。上海と深センに保有するオフィスビルの投資不動産再評価益、賃料収入、事業統合に伴う一回性利益を除外した場合、コア営業利益は前年比49%増、コア純利益は同36%の伸びを達成した。同社は企業向けERP(統合基幹業務)パッケージソフトの開発・販売を手掛けるが、製品別では中小企業向け「K/3」の売上高がこれまでのマイナス成長から前年比27.3%のプラス成長に転換。大企業向け「EAS」は同45.2%増収を記録した。また、サービス部門の売上高は51.5%増。これにより、サービス部門が売上高全体に占める割合は前年を2.1ポイント上回る42.2%に達した。一方、同期には販路拡大向けコストがかさんだものの、粗利益率は76.5%(前年は78.1%)の高水準を維持し、コア営業利益率は14.7%(同14.2%)に上向いた。

中国のソフトウエア業界の総売上高は10年に前年比31%増の1兆3360億元と、前年の同25.6%増から伸び率が加速し、ソフトウエア製品が総売上高に占める割合は前年の29%から31%に拡大した。中国政府は2008年に税制優遇、資金支援、業界統合促進策などのソフト業界支援策を導入。第12次5カ年計画(11-15年)では、ソフト業界の年間成長率を20%とする目標値を明らかにしている。また、同社が手掛けるERPアプリケーションは特に2008年の金融危機以降、企業にとっての重要性が高まっており、BOCIは国内の経営支援ソフト市場が向こう3年間、年率15-18%拡大すると予測している。 同社の01-10年の増収率は年率平均24.3%、増益率は同27.7%。粗利益率は約80%、純利益率は20%弱の水準で安定推移した。BOCIは09年以降の買収攻勢や10年の直接販売拠点の急速な拡大を理由に、11-12年の増収率がそれぞれ前年比40.9%、43.7%に達する見通しを示している。 同社はこれまでの製品重視型のビジネスモデルをサービス型に移行させており、08年には大手企業向けにコンサルタント部門を創設した。10年には「EAS」顧客向けに、同社製品とIBMのサービスを組み合わせた営業モデルを構築することでIBM側と合意。これにより、ハイエンドの大手企業の取り込みが進む見通しとなった。 BOCIはIBMとの戦略提携や販路の拡大、海外市場およびミドルウエア市場における主導的地位、さらにサービス型への転換が11-13年の収益成長を後押しするとみて、同社が再び成長加速局面に入ったと指摘。最新リポートの中で同社目標株価を引き上げ、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。