10年本決算は126%大幅増益、主力の風力発電事業が急成長

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00916 龍源電力集団股フン有限公司(チャイナ・ロンユエン・パワー)  7.56 HKD
(03/16現在)
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龍源電力集団の2010年12月本決算は、純利益が前年比126%増の20億1900万元と、BOCIの予想水準に達し、市場コンセンサス予想を9%上回った。同年下期の純利益は上期比で37%増。上場系列会社の煙台龍源電力技術(300105)の利益貢献1億8700万元を除外した同期利益が、市場コンセンサス予想並みの水準となった。同期には風力発電事業のウエート拡大を背景に純利益率が向上。一方、石炭火力発電事業は19%減益となり、営業利益全体に占める割合は前年の33%から19%に低下した。

同社が計画する風力発電事業の発電容量は10年末に61ギガワット(GW)と、新規株式公開(IPO)を実施した09年末の43GWから大幅に増加した。全国規模で風力事業を展開する戦略に基づき、同社の建設計画は28省にまたがるなどほぼ国内全域をカバー。BOCIは施設配置上の優位性を高く評価し、同社が今後30年以上にわたってほぼ独走状態の発展を遂げる見通しを示した。また、すでに4.5GW規模のオフショア(洋上)発電計画を持つ同社が、この市場でリーディングポジションにある点に言及している。東部沿海地域に近いオフショア事業は内陸に比べて商業的な成長性が高く、設備負荷率の面でも有利。さらに日本の東日本大震災に伴う原発事故を受け、中国政府は原発開発計画を見直す可能性が高く、BOCIはこの点も同社の追い風になるとみている。

同社の風力発電容量は10年通期に2GW増加し、通期の発電量は前年比63%増の100億キロワット時に達した。BOCIは11-13年の新規発電容量が2.3GW、2.4GW、2.4GWと推移するとみて、総発電容量が前年比34%、27%、21%増加すると予測している。

一方、10年通期の平均稼働は前年比2.7%減の2217時間にとどまったが、これは風速が相対的に弱い地域で開発を行ったことと、一部地域での送電処理量の限界が理由。ただ、国家電網公司などの送電会社はインフラ整備を強化しており、BOCIは11年まで平均稼働時間の小幅の落ち込みが続いた後、12年には上向きに転じるとみている。

このほか、風力用タービン価格の値下がりも同社にプラス。タービン調達コストは15%下がり、風力発電施設の平均建設コストは1kW当たり12%低下した。BOCIの試算では、タービン調達コストが10%下がるたびに投資収益率(IRR)が1.9ポイント上昇するとの結果が示されており、コスト軽減によるプラス効果は利上げのマイナス影響を十二分に相殺できる見通しという。

また、10年通期の金利コストは増収率の46%を大きく下回る10%増。低利率設定の社債発行を通じた財務コスト管理が奏功した。BOCIは金利上昇と石炭高騰を反映させる形で予想NAV(1株当たり純資産価値)を10.0HKドルに下方修正する一方、11-12年の予想EPSを10-16%上方修正。株価の先行きに対する強気見通しを継続し、同社を風力発電セクターのトップピックとしている。