IT投資拡大を受け業績回復の見通し、金融危機の影響から脱却

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00861 神州数碼控股有限公司(デジタル・チャイナ)  14.4 HKD
(03/07現在)
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ITベンダー国内最大手のデジタル・チャイナが金融危機の影響から脱し、2011年以降は大幅な成長が期待されている。政府の第12次5カ年計画では大規模なITインフラ投資計画が示され、中間所得層の税優遇も追い風。国内IT市場を代表する企業として市場拡大の恩恵を享受する見通しだ。また、ITサービス部門への注力が長期的な利益率成長を支える。こうした観点を踏まえ、BOCIは同社の目標株価を14.70HKドルから16.90HKドルに引き上げ、株価見通しを中立から強気の見方に修正した。

IT市場状況

  • 米調査会社ガートナーによると、2010年の中国のIT投資額伸び率は09年の7.5%から5.9%に低下する見通し。ただ、11年には10.1%に回復し、以降13年まで2ケタ成長を続けるとの予想を示している。クラウドコンピューティング、モバイルインターネット、ITインフラ整備といった分野が法人・個人双方の消費を刺激。IT大手のデジタル・チャイナにとって格好の事業チャンスが到来し、12-13年3月期の増収率は20%以上になるとBOCIは予想している。

部門別分析

  1. IT製品販売部門:
    主力のIT製品販売部門は、10年10-12月期の全売上高の47%を占めた。ブロードバンド回線の普及や世帯所得の増加により個人のパソコン需要が増すほか、サーバーを導入する企業の増加を背景に、12-13年度売上高はそれぞれ前年を19%、23%上回るとBOCIは予想。4-6級都市における小売店の積極展開も貢献する見通し。
  2. システム部門:
    システム製品部門の10年10-12月期の売上高は全体の28%を占めた。BOCIは12-13年度の部門売上高伸び率を18.5%、21.5%と予想している。10年3月から取り扱いを開始した華為技術の通信機器が貢献。金融危機の影響を受けて業績が伸び悩んでいたが、10年10-12月期以降には回復傾向がみられている。
  3. サービス部門:
    システム統合を手掛けるサービス部門の10年4-12月期の売上高は43億2700万HKドル。粗利益率は過去最高の19.87%に達した。営業利益率は8.56%。分野別の売上比率は通信が49%、政府が23%、金融が19%。金融危機の影響で09年度以降売り上げが低迷したが、12-13年度は13%、18%の成長を見込んでいる。同社は地方自治体向けにICカード事業「スマートシティ」を推進。現在までに51の都市に提案し、10都市と契約を交わしたという。政府の第12次5カ年計画では都市化と情報化に重点が置かれており、スマートシティ事業にとって追い風となる見通し。新事業がサービス部門の長期的な成長を支えるとみられる。