10年12月本決算は26%増益、今後はリスクが高まる可能性も

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00002 中電控股(シーエルピー・ホールディングス) 62.95 HKD
(02/25現在)
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中電控股が発表した2010年12月本決算は、営業利益が前年比7.2%増の91億4800万HKドル、純利益が同26%増の103億3200万HKドルだった。純利益はBOCI予想を6%下回り、市場コンセンサスを3%上回る水準。通期の配当は前年と同じ1株当たり2.48HKドル。営業利益の67%を占める主力の香港電力事業が堅調に推移したことや、オーストラリア事業の貢献が大幅に改善したことが増益の要因。また、中国本土事業も過去最高益を記録した。ただ、オーストラリア政府の排出量規制に向けた動きや、負債比率の上昇などの懸案事項があり、先行きには不透明感が残る。BOCIは同社の株価の先行きを中立の見方に据え置いている。

主力の香港電力事業は、純固定資産の増加により純利益が前年比2.76%増の61億2900万HKドルと健闘。公共電力会社の固定資産に応じて利益を保証する「管理スキーム(SOC)」は最短でも2018年まで継続される見通しで、中電控股はこの制度で大きな恩恵を享受する。さらに香港政府が排出ガス抑制を目指して制定する新たな燃料規制も同社にとってプラスに働く見通し。同社は原子力発電事業で実績がある上、中国本土企業との協力体制も競争力強化につながる。

子会社のTRUエナジーによるオーストラリア事業の利益は前年比77%増の13億300万HKドルに達した。現地の電力・ガス市場が好調な上、9億8900万HKドルの税優遇措置を受けたことや為替差益2億1000万HKドルを計上したことも寄与。

TRUエナジーは先ごろニュー・サウスウェールズ州でエナジー・オーストラリアの電力小売事業を買収した。エナジー・オーストラリアは150万件の契約者を持つ大手電力販売事業者。既存事業のDelta Western Gen Trader Bundleやマルーラン、マウントパイパーの発電所にこれを加え、積極的な事業拡大を図っている。ただ、買収に伴い12億豪ドルを新たに調達したため、今後負債比率が高まる可能性が指摘されている。 中国本土事業も好調で、同部門利益は前年比73%増の6億4200万HKドルと過去最高を記録した。景気回復と水力発電の落ち込みによる需要の拡大を受け、主力の防城港発電所の業績が改善した。 同社は今後も海外事業や新エネルギーへの投資に積極的な姿勢を見せている。ただ、オーストラリア事業は同国政府が環境政策の強化を検討していることから今後の展開が不安視されている。また、インドではプロジェクトの遅れがすでに業績に影響。さらに、同社は調達に自信を示しているものの、資金不足が今後の大きな課題となる見通し。