10年通期の利益見通しに失望感、生産コスト増大で大幅な予想割れ

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
00323 馬鞍山鋼鉄(マーアンシャン・アイアン) 4.25 HKD
(01/19現在)
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馬鞍山鋼鉄はこのほど、2010年12月通期(中国会計基準)の増益率が「前年比50%以上」にとどまる見通しを発表した。仮に増益率が50%となった場合、同期純利益は約5億8900万元となり、BOCIの予想および市場コンセンサス予想をそれぞれ53%、58%下回る水準。BOCIはこれに伴い目標株価を引き下げ、同社株価の先行きに対する中立的な見方を継続した。

同社経営陣が示した増益見通しを基にBOCIが算出したところによれば、同社は2010年10-12月期に4億6800万元の純損失を計上する見込み(同期の1株当たり損失は0.06元)。これはBOCIの予想(純利益3億8800万元)を大きく下回る。主に生産コストの予想以上の上昇と平均販売価格の予想外の低調がネガティブサプライズ要因とされ、ほかに一回性の損失を計上する可能性も出てきた。SBI Steelによると、2010年10-12月期には条鋼価格が前四半期比およそ10%上昇し、鋼板価格が同1-5%高。一方、コスト面では鉄鉱石価格、コークス価格がそれぞれ同15%、同6.2%値上がりした。

BOCIは今後も、鉄鉱石やコークスを含む生産コストの増大ペースが製品平均販売価格の伸びを上回るとみている。鉄鉱石産地であるオーストラリアの洪水被害による影響が一段のコスト増につながる可能性が高く、これに伴い粗利益率が縮小する見通しとなった。同社は輸入鉄鉱石の調達を抑えているもようだが、BOCIは国内の鉄鉱石価格も今後、輸入価格並みの水準に上昇すると予測している。

中国国内では異常気象の影響で建材需要が引き続き低調に推移し、主要都市では鋼材在庫が膨らみ始めた。また、交通機関が貨物輸送から旅客輸送に優先順位を切り替えたことも在庫増大の一因。1月14日時点の鋼材在庫は前月比7.8%増、前週比2.1%増の1380万トンに達し、うち条鋼は前月比18%増、前週比4.8%増の610万トン、鋼板は前月比0.8%増、前週比横ばいの760万トンとなった。

同社のガイダンスが予想を大きく下回ったことを受け、BOCIは2010-12年の利益見通しを17-59%下方修正した。生産コストに関する想定値の引き上げに加え、2011年1-3月期も低利益率が続くとの見通しが下方修正の要因。また、今回同社が発表した増益見通しへの失望感から、市場コンセンサス予想の下方修正が続くとみて、これが投資心理に影響する可能性を指摘している。なお、同社は3月後半に2010年本決算を発表する予定となっている。なさるようにお願いいたします。