「イノベーション」ってなに?
イノベーション(技術革新)と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。身近なイノベーションの例として「コミュニケーション」の変遷を考えてみましょう。物を燃やした煙で伝える「狼煙(のろし)」から伝書鳩などの動物を使った手段、電気信号を利用したモールス信号、そして1870年代には電話が誕生しました。
その後、インターネットが普及し電子メールが使われるようになり、現在はスマートフォン上でSNSを使った交流が活発に行われています。この例を踏まえると、イノベーションとは「これまで存在していなかった技術やサービスを通じて社会に新たな価値を提供し、変革を起こすこと」と言えるでしょう。イノベーションは私たちの歴史そのものなのです。
優れたテクノロジー(技術)があるだけではイノベーションとして爆発的に普及・成長しません。テクノロジーはあくまで目的を達成するための手段であり、社会的なニーズと合致したときに初めて社会に変化をもたらすイノベーションになります。
例えば羅針盤は11世紀の中国で発明されましたが、普及したのはスペインなどによる15世紀の大航海時代です。活版印刷技術も当初は1400年ごろにドイツで発明されましたが、1517年の宗教革命で聖書を大量に印刷する必要性から急速に広がり、社会に大きな転換をもたらしました。
また、イノベーションを起こすには莫大(ばくだい)な投資(時間・費用・労力など)が必要です。新薬開発を例にとると、基礎研究から製造・販売まで一般的に9~17年の歳月がかかり、その間にかかる費用は平均500億円といわれています。開発の成功確率は約3万分の1と、研究対象になったほとんどの新薬は途中で開発が断念されるのが現実です。
以上より、イノベーションは人々の明確なニーズ(目的)と達成するためのテクノロジー、そしてテクノロジーを生み出し発展させていくための投資がそろって初めて普及へと進むのです。
イノベーションの普及と株価は連動
さまざまなイノベーションはどのように普及し、その過程で関連企業の株価はどのように推移するのでしょうか。
米国のITリサーチ会社であるガートナー社は、新しいテクノロジーの普及度合いを「ハイプ・サイクル」で示しています(図1)。まず黎明期に研究や実験によって新たなテクノロジーが生まれます。
企業の発表やメディアによる報道によって人々の期待が高まっていきますが、実際に利用してみると期待が満たされず幻滅し期待は急速にしぼみます。その後、テクノロジーがどのようなメリットをもたらすのか正しい利用方法が知れわたると再度注目が集まり、やがて主要な製品・サービスに採用され安定的に普及が進みます。
上記のテクノロジーの経過に合わせて関連企業の株価も同じように動く傾向があります。
図2で2000年前後のネットバブル期におけるS&Pダウジョーンズ・インターネット総合指数の推移を確認すると、当時はインターネットが登場し企業の業績拡大への期待が高まるにつれて株価は大きく上昇するも、関連企業の売上高や利益が高まった成長期待を満たすことができず2001年以降に大きく下落しました。
その後、あらゆる産業で着実にITテクノロジーが適応されていき、新たなビジネス形態や組織変化から収益を生み出しながら株価は安定的に上昇してきました。
イノベーションへの投資方法として、今後高い成長が期待されるテーマをいち早く予測し、関連する企業に投資する方法があります。テーマの選定にあたっては一時的な流行ではなく、持続的・構造的な潮流を見極めることが重要です。
企業を選定するのにもイノベーションに対して十分な投資が可能か、また収益化の道筋が描けるかを精査する必要があるでしょう。ただ、これらは一般の投資家にとって簡単なことではありません。
構造的な変化をもたらす世界の大型優良企業に投資
より簡単にイノベーションに投資する方法としてETF(上場投資信託)の活用が挙げられます。グローバルX 革新的優良企業 ETF(178A)は、社会に構造的な変化をもたらす4つのテーマからイノベーションの中心となる優良企業を選定した指数(Mirae Asset Global Innovative Bluechip Top 10+ Index)への連動を目指します。
相互に補完し大きな成長が期待されるテーマとして「AI/ビッグデータ」「半導体」「ヘルスケア/バイオテクノロジー」「次世代モビリティ/バッテリー/再生可能エネルギー」に着目し、各テーマを代表する世界の大型優良企業15銘柄で構成します。
構成銘柄は図3の通りで、マイクロソフトやアップルといった大手IT企業に加え、AI向け半導体で80%以上のシェアを誇るエヌビディア、肥満症治療薬を開発したイーライリリーとノボ・ノルディスク、EV世界シェア首位のテスラなど、世界の名だたるイノベーション企業となっています。
それぞれが際立った技術を有しているだけでなく、豊富な資金力によって画期的な技術やサービスを開発した企業を買収したり、優秀な人材を確保したりと継続的な投資を行うことで成長力を高めているのです。
図4は対象指数と代表的な株価指数のパフォーマンス比較です。大きな成長可能性を秘めた複数のテーマをカバーすることで単一のテーマの影響を受けづらく、また、売上高成長率や収益力で強い企業を厳選するため中長期的に優れたパフォーマンスが期待されます。
当ETFの売買単位は1口で、1口当たりの株価は1,164円(6月18日終値)と少額から投資できるため、積み立てだけでなく複数銘柄との分散投資にも活用できるでしょう。