クイズの正解:利益に法人税がかからないBの図表
クイズの答えをお伝えします。正解はBの図表です。
Bが、Jリートで使われる「投資法人」から分配金が支払われる仕組みを説明する図です。Aは、一般の上場企業「株式会社」から配当金が支払われる仕組みを説明しています。
リートは分配金利回りが高い
Jリートの平均分配金利回り(加重平均)は、2月27日時点で4.6%です。一方、東証プライム市場の平均配当利回り(加重平均)は2.0%です。Jリートの方が、利回りがかなり高くなっています。
Jリートは、株の一種ですが、債券的価値の高い株と言われます。成長性がない代わり分配金利回りが高くなっています。
Jリートの利回りが高くなる理由が、上記の図から分かると思います。
一般の上場企業(株式会社)の場合、利益からまず法人税(近年は連結税前利益の約30%くらい)が差し引かれます。そこから内部留保等(近年は連結税引後利益の約70%くらい)が差し引かれて、残った分が配当金として株主に支払われます。
一方、Jリートの投資法人では、利益の90%超を分配するなど一定の条件を満たせば、法人税なしで、投資主(投資法人の投資家)に支払われます。法人税が差し引かれず、内部留保もほとんどないので利益の大半を投資主が受け取ることができます。
ただし、分配金を受け取った個人投資家は、分配金に対して所得税(源泉徴収が多い)を支払う必要があります。それは、上場株式からの配当金に、所得税がかかるのと同じです。
リートに成長期待はない
リートに内部留保がほとんどないことには、良い面と悪い面があります。良い面は「分配利回りが高くなる」こと、悪い面は「成長投資を一切しないこと」です。リートは、利回りの得られる不動産に投資するだけで、不動産の開発投資や成長投資はしません。開発投資で失敗するリスクがなくて済みますが、開発投資を成功させて成長する期待もありません。
リートで投資している不動産が老朽化してきた時に売却して、新しい物件を購入することはあります。また、増資によって得た資金で新しい物件を購入することもあります。ただし、その目的は「分配金を安定的に維持」することにあります。成長を目指した開発投資は行われません。