王道インデックスファンド以外はアリ?ナシ?

 楽天証券の1月13~19日時点における新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)積立設定金額上位の投資信託は、「eMAXIS Slim全世界株式」「eMAXIS Slim米国株式」となっています。

 いわゆる低コストのインデックスファンドが人気のようで、これは従来のつみたてNISAでも同じでした。特に投資について時間を割きたくないという個人投資家は、このような世界に分散できて、コストが低いインデックスファンドを積み立てていくのが王道でしょう。

 しかし、投資は自己責任の下で行うものであり、投資に用いるのは自分のお金ですから、王道の投資法以外を選択するのも当然アリです。ある程度、企業業績や財務内容、株価指標などを分析しながら投資をしたいと考える方は、例えばつみたて投資枠では王道のつみたて投資をしながらも、成長投資枠では高配当株式や海外ETF(上場投資信託)に投資をするのもいいでしょう。

 また、いきなり個別株は難しいけれど、インデックスファンド以外の投資信託も選びたいという方は、成長投資枠ではいわゆるアクティブファンドを選択してもいいと思います。インドやインドネシアなど、1つの新興国株式に投資するのもいいですし、AI(人工知能)やEV(電気自動車)などこれから時代の中心に来そうな産業だけに投資をする、いわゆるテーマ型の投資信託を選ぶのもいいでしょう。

 ネットを見ているとインデックスファンドのつみたて投資以外は邪道のような排他的な意見も散見されますが、自己責任の下で自分のお金を投資するわけですから、自分がやりたいようにやるべきだと思います。

新NISAは絶対にやった方がいい?

 コロナが落ち着いて以降、ありがたいことに日本各地に講演で呼んでいただくことが増えましたが、昨年は講演後に新NISAについての意見を多くいただきました。その中でもよく耳にした意見は2つあります。

 1つ目は「新NISAは絶対にやった方がいいと思う」というものです。

 この意見については私も賛成です。そもそも投資をするつもりなら、非課税になる制度を使わない理由はないでしょう。しかし、よく聞いてみると、新NISAをやったほうがいいという意見の裏側に「政府が勧めているのだから、最終的にはもうかることが確定している」という考えがある人も多くいたのです。

 それは完全なる誤りです。新NISAが良い制度であることはこれまでも説明してきましたが、投資である以上は損をする可能性も十分にあります。そして、新NISAはもうかれば非課税ですが、損をしても損失補填(ほてん)してくれるような制度ではありません。あくまで新NISAは損をする可能性もあるということは理解しておきましょう。

新NISAは若い人向けの制度?

 2つ目は「新NISAは若い人向けの制度でしょ?」という意見です。そのような意見を持つ方は60歳前後の方が多いのですが、それは頭の中に「ターゲットイヤーファンド」のような考え方が染み付いているせいかもしれません。

 ターゲットイヤーファンドの考え方は、若いうちは運用資産に占める株式の比率を高めにしたポートフォリオを組み、引退する年齢に向けて徐々にポートフォリオにおける債券の比率を高めていき、運用資産全体のリスクを低下させていく、というものです。

 このような考え方が頭の中に入っていると、例えば今既に60歳である場合、いまさら新NISAを利用したところで、債券中心の安定運用になってしまい、あまり非課税制度のメリットを享受できないと考えてしまっているのでしょう。

 しかし、現代は人生100年時代といわれます。

 仮に65歳で引退しても、100歳まで生きれば老後生活は35年もあることになります。35年というのは30歳から資産運用を始めた人が定年退職するまでの期間と同じ長さです。そう考えると、果たして教科書通りに65歳に向けて徐々に債券比率を高めていくという運用方法は正しいのでしょうか。

 長寿大国である日本で生きている以上、65歳以降もある程度は運用を続ける必要があると考えれば、新NISAは若い人向けの制度だと思わずに、何歳であっても有効活用したほうがよいでしょう。

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