大型グロース株の逆襲はまだ始まったばかりか?

 3月上旬、米シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻をきっかけとして金融システム不安が広がりました。米国株式市場は一時的に下落しましたが、足元ではNASDAQ100指数とSOX指数(フィラデルフィア半導体指数)が大きく上昇しています(図1)。

 2022年に大きく下落した反動に加えて、図2のように市場参加者のFRB(米連邦準備制度理事会)利上げ見通しが切り下がり米長期金利が低下、さらに質への逃避も発生し、中長期的な成長確度が高い大型のグロース株を中心に資金が流入したとみられます。

 市場ではFRBが年内に利下げへ転じると予想しています。今後、予想通り米国の利上げ局面が終了すれば、引き続き金利の影響を受けやすいグロース株にとって追い風となります。また、リスクオンが強まる局面では半導体セクターなど成長ストーリーを持つ銘柄が選好されると考えられます。

高利益率・高成長の「半導体セクター(SOX指数)」に注目

 図3はSOX指数とNASDAQ100指数の構成銘柄の営業利益率を比較したものです。SOX指数の営業利益率は、シリコンサイクルと呼ばれる半導体業界特有の景気循環の影響を受けるため上下動していますが、直近10年のトレンドは右肩上がりで、NASDAQ100指数を上回って推移しています。

 そのため、今回市場の変動が大きくなった局面で、良好な収益体質の半導体セクターに資金が流入したと考えられます。

 世界の半導体産業の市場規模は、2030年にかけて10年間で約2.3倍の1.1兆ドルに拡大すると予想されています(図4)。電子機器の性能と能力の向上に加え、EV(電気自動車)の普及やAI・5Gの活用、データ量の増加に伴うサーバー・データセンターなどさまざまな用途で需要拡大が見込まれるためです。

 昨年以降、米長期金利の上昇や半導体の在庫調整がSOX指数の重荷となっていましたが、半導体産業は今後も拡大する見通しであり、SOX指数は出遅れ挽回および長期的な上昇が期待されます。

米国テック銘柄から優良大型株を厳選「USテック・トップ20」に注目

 米国の大型テクノロジー銘柄の動向を表す指数として、「FactSet US Tech Top 20 Index」が注目されます。

 当指数は、米国が世界をリードし今後の成長余地が大きいテーマである「クラウド」、「eコマース」、「自動化(ロボティクス)」と、複数のテーマの普及から恩恵を受けると予想される「コンテンツ/プラットフォーム」と「半導体」から、それぞれのテーマを代表する銘柄で構成します(図5)。

 当指数の構成銘柄は独自のビジネスモデルや業界の中で高いシェアを有しており、目先の金融情勢や経済環境に不透明感がある中でも中長期的な利益成長性から関心を集めています。

 

 FactSet US Tech Top 20 Index指数のパフォーマンスは好調で、NASDAQ100指数を上回って推移しています(図6)。大型テクノロジー企業は人員削減を柱としたコスト削減を実施しており先行きの業績回復が期待されるため、引き続き当指数のパフォーマンスも注目されます。

関連銘柄のご紹介

 2023年4月13日に二つのETF(上場投資信託)、SOX指数に連動する「グローバルX 半導体 ETF(2243) 」と、FactSet US Tech Top 20 Indexに連動する「グローバルX USテック・トップ20 ETF(2244) 」が東証に上場しました。SOX指数に連動するETFは東証で初めてとなります。

 テクノロジー銘柄は株価の変動が大きく、大型銘柄であったとしても株価変動の幅や期間は銘柄ごとに異なります。ETFではこれらを一つのポートフォリオにすることで、個別銘柄の選択リスクや株価変動を抑えた投資が可能です。

 また、東証上場のため日本時間に円貨で売買でき、より柔軟な投資が可能になります。1口あたりの株価はともに約1,000円と少額から投資できるため、積み立てや複数銘柄との分散投資に活用できます。

 これらのETFへ投資する際、一括投資のほか積立投資も有効だと考えています。毎月一定額を積立投資した場合、一般的に値動きが大きいほどドルコスト平均法による効果が大きくなる傾向があります。二つのETFは米国の主要株価指数よりも値動きが大きいため、値動きを味方につけた積立投資も一考に値するでしょう。

 ETFの詳細については以下の動画で解説していますのでぜひご覧ください。