米国の利上げ停止は米長期金利の転機

 図1は、米国の政策金利(FF金利誘導目標)と米10年債利回りの推移を示しています。米10年債利回りはFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを停止する前にピークをつける傾向にあることが分かります。

 足元では米国のインフレ高止まりを受けて利上げ停止時期が先延ばしになるとの警戒感が高まっていますが、7月に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げを最後に、12月もしくは2024年1月には利下げに転じると予想されています。過去の例を踏まえると、米10年債利回りは今年中にもピークアウトが期待されます。

図1:米国政策金利と米10年債利回りの推移

米国優先証券の利回りは魅力的な水準に

 米10年債利回りの上昇に伴って、米国の優先証券の魅力が高まっています。

 優先証券とは株式と債券の性質を併せ持つハイブリッド証券です。株式のように証券取引所で取引され、債券のようにクーポンが定期的に支払われます。企業の資本構造では図2のように債券の下に位置付けられるため、信用リスクが高くなる傾向にありますが、相対的に利回りが高いという魅力があります。

図2:企業の資本構造(イメージ)

 図3は米国優先証券と米国総合債券、米10年債、S&P500種指数の利回りを比較したものです。米国優先証券の利回りは他の投資対象を上回る傾向が見てとれます。特に足元の米国優先証券の利回りは長期的にも高い水準にあり、インカムゲインを狙う投資家にとって魅力的な水準です。

図3:利回りの比較(過去10年)

米長期金利の低下時に株価上昇も期待

 優先証券の株価の動きは株式と比べて小さいですが、債券のように金利変動の影響を受けます。具体的には、金利が上昇する局面で株価は下落し、反対に金利が低下する局面で株価は上昇する傾向があります。また、金利が横ばいで推移するとき、株価もおおむね横ばいとなります。

 図4は、幅広い米国の優先証券のバスケットに投資する「米国優先証券ETF(上場投資信託)(PFFD)」の基準価額と、米10年債利回り(逆目盛り)の推移です。

 先に述べたように、米国優先証券ETFの基準価額はコロナショックを除いておおむね米長期金利の動きと連動しています。つまり、今後マーケットがFRBの利上げ停止を織り込み米長期金利が低下すると、米国優先証券ETFの基準価額も上昇することが期待されます。

図4:米国優先証券ETF(PFFD)の基準価額と米10年債利回りの推移

 米国の優先証券に投資する商品としては、米国上場でドル建てのグローバルX 米国優先証券 ETF(PFFD)のほかに、PFFDに投資する東証上場で円建てのグローバルX 米国優先証券 ETF(2866)があります。ともに毎月決算で、定期的な分配金の提供を目指しています。

 PFFDの直近12カ月の利回りは約6.3%*と高水準です。経費率は0.23%と業界平均の半分以下となっています**。組入れ銘柄の発行体は、ウェルズ・ファーゴやバンク・オブ・アメリカ、シティグループなど大手金融機関が中心です。

*2023年2月27日時点
**2022年10月1日時点、ETF.com

 米国優先証券ETF(PFFD、2866)についてもう少し詳しく知りたい方は、ぜひ以下の動画をご覧ください。