THE S&P 500 MARKET: 2022年12月

 2022年は株式市場にとってひどい1年となり、S&P500指数は19.44%の下落と、2008年(38.49%の下落)以来の下落率となりました。セクター別では年間リターンがプラスとなったのはエネルギーセクターのみでした(59.05%上昇。ただし公益事業の配当込みのトータルリターンはプラス1.57% ―― 筆者は配当重視派です)。139銘柄が値上がりし(平均上昇率は22.21%)、363銘柄が値下がりしました(平均下落率は24.58%。全銘柄では平均11.62%下落)。ここでも2008年(値上がり銘柄数が僅か25銘柄)以来の悪い結果となりました(2008年にリターンが最も高かったのはFamily Dollar Storesで、35.57%上昇)。ボラティリティは大幅に上昇し、日中の高値と安値の変動幅が1%以上となったのは219日(全営業日数の251日中)、これに対して2021年は95日でした。前日比で1%以上変動した日数は122日(上昇が59日、下落が63日)、これに対して2021年は55日(上昇が34日、下落が21日)でした。2022年通年の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は1.84%でした(2009年の2.03%以来の高水準。ちなみに2008年は2.81%)。これに対して2021年は0.97%でした(2019年は0.85%、2017年は0.51%と穏やかで、筆者がデータ収集を開始した1962年以来の最低でした)。時価総額は、S&P500指数全体で8兆2,200億ドル減少し(32兆2,150億ドルとなり)、情報技術セクターが3兆4,900億ドルの減少、エネルギーセクターは5,890億ドルの増加となりました。

 2022年の市場データは悪く、それ(あるいは痛み)を軽く見せたいとは思っていませんが、前年までは過去3年間で累計90.13%上昇し(2021年: 26.87%、2020年: 16.24%、2019年: 28.88%)、過去5年間では累計112.89%上昇していました(2018年: -6.24%、2017年: 19.42%)。「イベントはリアルタイムで起き」、そして市場は変化します。新型コロナウイルスの感染拡大で市場は2020年2月19日(当時の終値での高値)から2020年3月23日までに33.93%下落しましたが、3月のこの安値から71.61%回復し、現在コロナ(の影響を受ける)前の2月19日の水準を13.39%上回っています。市場は長期的なものであり、そうしたアプローチを取る場合、2022年は高値、安値、イベント、歴史を通じて解釈する必要があります(短期的な資産の再配分が助けとなる可能性はあるものの危険です ―― 市場のタイミングを見極めるのは相変わらず最も難しい仕事です)。

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