気候変動対策がEV普及を後押し
昨今、世界中で気候変動対策に関心が集まっており、135カ国以上が経済全体でのネットゼロエミッション目標を掲げています。国・地域ごとにガソリン車などの内燃機関車の禁止・電動化に目標を設定しています。
世界の部門別エネルギー関連二酸化炭素排出量で自動車などの輸送セクターは、2020年時点で約23%と多くを占めているため、EV(電気自動車)は気候変動対策として極めて重要です。
また20カ国以上が今後20年間に自動車の電動化率100%の販売目標を掲げています。
世界で最もEVの普及が進んでいるのはノルウェーです。ノルウェーでは2020年時点で、販売された自動車の75%がEVでした。同国ではガソリン車の販売を2025年で終了させることを計画しており、付加価値税(VAT)や自動車購入税の免除といった積極的な政策で、EVへの転換を加速させています。
一方で、ノルウェーと比較すると、世界各国のEVの普及率は低く、今後の成長が期待されます。
米国でもEV普及を後押しする気候変動対策に注目
注目すべきは、自動車販売台数世界2位の米国の動向です。中国・欧州などの主要な自動車市場では、補助金などの政策によりEVのシェアが10%を超えましたが、米国では取り組みが遅れていました。
2022年8月、米国議会は画期的ともいえるインフレ抑制法案を可決しました。この法案は、米国政府が気候変動対策として、過去最大規模の総額3,750億ドルの予算が組まれています。当法案に盛り込まれた施策によって米国経済全体における二酸化炭素排出削減率予測(2005年の水準との比較)を、2030年までに37%から41%にまで引き上げようとしています。
法案中の重要施策の中で「EV生産に関する税額控除の期限延長・適用範囲拡大」施策に注目しています。インフレ抑制法案によって、EV新車に関する7,500ドルの連邦税控除が期限延長され、中古EVについても販売価格の30%(上限4,000ドル)の税額控除が新たに導入されました。
重要なこととしては、これらの税額控除については、メーカーごとの販売台数に上限がなくなったことです。従って、テスラやゼネラルモーターズも含め、旧スキームで税額控除枠を使い切ったメーカーも、今回適用対象となります。
気候変動対策で自動運転の普及にも期待
EVの普及だけが気候変動対策ではありません。自動運転の普及でも二酸化炭素排出量を削減することができます。自動運転の実現により、交通渋滞の抑制による二酸化炭素排出量の削減効果が期待されています。
自動車からの二酸化炭素排出量はその走行速度によって変化します。例えば、走行速度が20km/hから60km/hに向上すれば燃費が改善され、その結果、二酸化炭素排出量は約33%低減します。したがって、道路における車の流れを円滑化し走行速度を向上させることは、二酸化炭素排出量を削減する上でとても重要になります。
世界規模の気候変動対策がEVと自動運転の普及を後押ししている状況下でGlobal X JapanではグローバルX自動運転&EV ETF(銘柄コード:2867)に注目しています。当ETFでは自動運転技術、EV、EVに使用される部品および材料の開発に携わる企業に投資します。
自動運転のソフトウエアやハードウエアの開発に携わる企業、EV、リチウム電池などのEVに使用される部品、リチウムやコバルトなどのEVに使用される重要な材料を生産する企業などが含まれます。各国の補助金政策やEVに対する消費者の認識向上でEVの市場はさらなる拡大が期待されます。
当ETFの詳細は下記動画で確認いただけます。
(ご参考:2022年8月15日付Global Xリサーチ「EV市場、一昔前とは大きく様変わり」、2022年8月16日付Global Xリサーチ「インフレ抑制法、再生可能エネルギーやクリーンテック産業の振興促す」)