2030年にはEVの価格がガソリンなどの内燃機関車を下回る可能性
米国のコンシューマー・レポートの調査によれば、自動車を運転する米国人の10人中7人が、EVの充電ステーションのインフラが整備され、価格が下がればEVの購入を検討すると回答しています。2022年上半期の販売台数も、このような消費者の関心を反映しています。
また、ブルームバーグ社の分析によると、米国では2022年上半期に販売された新車のうち、EVの占める割合が5%を超えました。
すでに5%を超えた18カ国の実績に基づくと、2025年までには販売される新車のうち25%がEVになると予想されます。第2四半期におけるEV販売台数は44万台超にまで跳ね上がり、前年からの増加率は13%となりました。
EVへの急速な転換によって、バッテリーの主要な原材料であるリチウムの需要に拍車がかかったと見られます。新型コロナの感染拡大による供給制約なども加わり、5月の時点でリチウムの国際的な平均価格は前年比432%上昇しました。
他のEV部品も供給が制限され、インフレも相まって6月のEV平均価格は6万6,000ドルに達し、年初来で13%以上値上がりしました。Global Xでは、時間はかかるものの需給バランスはいずれ解消され、バッテリー価格が下落すると見ています。
また、バッテリー価格は2030年には現状の半額までに下落し、これによりEV価格は内燃機関エンジン搭載車の価格を5年程度のうちに下回る可能性があると見ています。
米国でもEV関連の政策を導入
中国・欧州などの主要な自動車市場では、補助金などの政策によりEVの導入が加速しましたが、米国ではこれらの取り組みが遅れていました。
しかし、8月にインフレ抑制法案が議会で可決され、これによって2009年以来となるEV補助金が連邦法に盛り込まれることになりました。
この法案は「単発としては米国史上、気候変動に対する最高額の投資」として、総額3,750億ドルの予算が組まれていますが、その一環として新車EVについては7,500ドルの税額控除措置が延長され、さらに中古車EVについては4,000ドルの税額控除措置が導入されることになります。
充電ステーションインフラへの投資についても変化があります。充電ステーションに対する連邦政府主導のインフラ投資第1弾として、インフラ投資・雇用法において全土における充電ステーション・ネットワーク構築のために75億ドル規模の補助金が導入されました。
これら各国の政策を追い風に、世界のEV市場規模は2021年の411億ドルから2027年には1,393億ドルと約3.3倍に拡大する見通しです。
Global Xは自動運転&EVの成長余地が相当大きいと予想
自動運転&EVのテーマはまだイノベーター(革新者)の段階にありますが、Global Xではアーリーアダプター(初期採用者)の段階に進み成長が加速するものの、市場シェアの絶対値は依然として低水準にとどまると予想しています。
また、ロボティクス、AI、およびモノのインターネット(IoT)の技術統合によりモビリティ分野が大きく進化し、最終的には完全な自動運転を実現したEVが普及すると予想しています。
グローバルX 自動運転&EV ETF(ティッカー:DRIV)は自動運転技術、EV、EVに使用される部品および材料の開発に携わる企業に投資します。
これには、自動運転のソフトウエアやハードウエアの開発に携わる企業、EV、リチウム電池などのEVに使用される部品、リチウムやコバルトなどのEVに使用される重要な材料を生産する企業などが含まれます。
組入上位はテスラやアップル、マイクロソフト、クアルコムとなっています。基準価額は19.53ドル(10/14時点)と、少額から自動運転とEVの成長の恩恵を受けると期待されるグローバルな企業に投資が可能です。
一般的な消費者にとって自動車は技術的進歩が最も目に見える分野の一つです。近い将来、官民双方からの投資によって、EVはぜいたく品から比較的安く買える商品への変化が予想されます。
今後10年間において、電子化および自動化の技術により、ほぼ全ての移動手段が完全な変化を遂げることになるでしょう。投資家としては、今目にしている自動車はまさに一考に値するものではないでしょうか。
(ご参考:2022年8月15日付Global Xリサーチ「EV市場、一昔前とは大きく様変わり」)