2022年上期は小幅のコア増益、積極的な土地取得で成長基盤固める

現地コード 銘柄名
00123

越秀地産

(ユエシュウチサン)

株価 情報種類

9.26HKD
(8/19現在)

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 広州市政府系の不動産デベロッパー、越秀地産の2022年6月中間期の売上高は前年同期比29.1%増の313億元に達した。粗利益率はBOCIの予想通り、前年同期の26.8%から21.2%に低下し、粗利益は2.5%の伸びだった。粗利益率の低下で土地増値税(LAT)負担は19.1%減少したが、金融費用の増大や関連会社・合弁会社利益の縮小が相殺し、コア純利益は1.4%の小幅増。それでもコアベースで利益成長を確保し、同業銘柄の大半をアウトパフォームする可能性が高まっている(最終利益は26%減)。BOCIはまた、トップクラスの物件成約状況や上期の積極的な土地取得により、同社が今後の成長に向けた基盤を固めたとの見方。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 直近の7月の物件成約額は前年同月比15.9%増と、不動産セクターでトップクラス。1-7月の成約額でプラス成長を確保した唯一のデベロッパーとなった。下期の分譲可能物件は1,657億元規模。同社が設定した通期成約目標は前年実績比7%増の1,235億元。この目標を達成するには下期に746億元の成約が必要となるが、BOCIは達成可能との見方だ。成約率45%という控えめな数字をクリアするだけで、目標に届くとしている。

 同社は土地市況が冷え込んだタイミングを逃さず、積極的に土地を取得しており、2021年下期には物件成約面積178万平米に対し、346万平米(床面積換算)分を確保した。新規用地の55%はTOD(公共交通指向型開発:公共交通機関を基盤とした都市開発)プロジェクトや、国有企業間の協業、業界主導型のM&Aといった、公開入札以外のチャネルを通じて取得した。経営陣によれば、TODや業界主導型プロジェクトが一等地にあることが、販売好調の一因。BOCIはこの種のプロジェクトが2022年から2024年にかけ、同社の卓越した成長をけん引するとみている。

 積極的な土地取得を背景に、純負債比率は6月末に59.7%と、前年同期比12.6ポイント上昇したが、それでもまだ健全なレベル。BOCIは現状の下で好機を逃さず、土地取得をペースアップさせた経営陣の手腕を前向きに評価している。デベロッパーの負債状況に応じた当局の資金調達規制、「3本のレッドライン」に照らすと、同社は引き続き、最良のグリーンカテゴリーに属し、フィッチ・レーティングスやムーディーズ・インベスターズ・サービスも投資適格級のレーティングを維持している。

 現在株価の2022年予想PBR(株価純資産倍率)は0.5倍で、BOCIが設定した1株当たりNAV(純資産価値)の16.36HKドルを43%下回る水準。2022年予想PER(株価収益率)では5.6倍となる。BOCIは優れた成長力や一等地での事業展開、堅実な財務などを理由に、現在株価は魅力的な水準にあるとの見方。目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、新型コロナ感染の再燃が不動産市況の回復の重しとなる可能性を挙げている。