2022年上期は71%減益、スマホ需要減や物流の混乱が打撃に
現地コード | 銘柄名 |
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01478 |
丘タイ科技 (キュー・テクノロジー) |
株価 | 情報種類 |
4.40HKD |
株価 企業情報 チャート |
アンドロイドスマートフォンの需要減が打撃となり、キュー・テクノロジーのカメラモジュール(CCM)と指紋認証モジュール(FPM)の出荷量や平均販売価格、利益率は2022年6月中間期に落ち込んだ。売上高は前年同期比24%減、純利益は71%減。同社が事前に発表した利益警告(50-70%の減益)をさらに下回る内容だった。BOCIはアンドロイドスマホ用部品の比重が95%を上回るという事業構成を理由に、業績悪化は不可避としながらも、現在株価の低バリュエーションに言及。新エネルギー車(NEV)搭載用やAR/VR(拡張現実/仮想現実)向け製品の成長が潜在的な支援材料となる可能性を指摘した。目標株価を大きく引き下げつつ、株価の先行きに強気見通しを継続した。
2022年上期の売上高は前年同期比24.0%減の70億9,500万元にとどまり、BOCIの予想と市場コンセンサス予想をそれぞれ22%、12%下回った。世界のスマホ需要の萎縮とスマホ・ベンダーによるコスト削減戦略を受けた製品販売量の減少と価格の下落が響いた。粗利益率は5.3%と、前年同期比6.3ポイントダウン。その理由は主に以下の3点だった。◇製品販売量の縮小とハイエンドモデル向け部品の比重低下、◇物流の混乱を受けた設備稼働率の低下、◇主要原材料のひっ迫と人出不足に加え、新たな労働関連政策を受けたコスト増。結果的に、上期の営業利益は94%減の3,700万元にとどまった。
製品別に見ると、CCMの上期の出荷個数は前年同期比5%減で、平均販売価格は19%低下。FPMは出荷個数が9%減で、平均価格は34%の下落だった。経営陣は今回、2022年通期の出荷個数見通しを、CCM、FPMともに「前年比で最大5%の減少」に下方修正している。これまでの予想はCCMが2桁増、FPMが少なくとも20%増だった。
一方、同社の非スマホビジネスは成長余力が大きい。経営陣は非スマホ用のCCM出荷量を倍増以上のペースで伸ばす方針であり、VR製品や車載用カメラモジュールについて、世界大手企業との取引を進展させているという。BOCIは同社のスマホ部品ビジネスの強力な顧客基盤を理由に、こうした新規分野への参入においては、規模の小さい競合他社に比べて競争優位にあると指摘している。
BOCIは出荷量と利益率に関する想定値を大きく引き下げ、2022-2024年の予想EPS(1株当たり利益)を56%、46%、41%減額修正した。ただ、現在株価の2023年予想PBR(株価純資産倍率)が0.8倍と、過去3年間の低水準にあることから、スマホ市場の復調や非スマホ向け事業の成長が支援材料となる可能性を指摘している。新たに2023年予想PER(株価収益率)8倍をあてはめて目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。一方、レーティング面での潜在リスク要因としては、指紋認証技術の採用動向の不利な方向への変化、新規顧客や新製品に絡む認証プロセスの鈍化、政策面と新型コロナによる需要への影響、市場競争の激化などの可能性を挙げている。