第三者割当増資を発表、オフショア社債の買い戻しで資本構造改善か

現地コード 銘柄名
02007

碧桂園控股

(カントリー・ガーデン)

株価 情報種類

3.16HKD
(7/28現在)

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 中国の不動産大手、碧桂園が第三者割当増資を発表した。新株8億7,000万株を1株当たり3.25HKドルで発行する。新株数は増資前発行済み株式総数の3.76%、増資後では3.62%に当たり、発行価格は7月26日終値を12.63%下回る水準。直前5日間、10日間の終値平均に対しても2.69%、4.97%のディスカウント水準となる。資金調達額は総額28億2,800万HKドル、正味27億9,100万HKドルで、オフショア債務の借り換えや運転資金、将来の開発資金に充当する方針。経営陣によれば、大幅に下落している自社オフショア社債を買い戻す可能性があり、そうなれば資本構造が大きく改善する見通しという。BOCIは2022年、2023-2024年のEPS(1株当たり利益)の希薄化率が1.6%、3.6%になると試算しながらも、民営デベロッパーの中では相対的に強い財務や2022年上期の物件成約額の相対的な堅調を評価。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2021年末時点で純負債比率が45.4%、使途無指定の現金が短期借入金の1.53倍相当と、同社のバランスシートは民間デベロッパーの中では比較的強固。年内に満期を迎える債務も限定的で、オフショア社債40億元(この分の借り換えは内部資金で対応済み)や、借り換え対象になり得る4億4,000万米ドルのオフショアシンジケートローンを含む。また、同社の場合、2022年上期の物件成約額も前年同期比38.9%の減少率に踏みとどまり、同業の中でトップクラスだった(同業銘柄の大半は40%を超える減少率)。

 同社は第三者割当による調達資金を大幅な割引状態にあるオフショア社債の借り換えに用いる可能性が高い。2023年以降に満期を迎えるオフショア債の取引価格は現在、約32-49米セント。これを仮に平均39米セント、総額28億HKドルで買い戻した場合、損益計算書(PL)上では43億7,000万HKドル(37億5,000万元)の利益が発生。さらに有利子負債が正味37億5,000万元縮小し、純負債比率は約1.8ポイント低下する。今回の増資による1.3ポイントと合わせ、計3.1%改善する計算になるという。

 一方、同社の場合、開発事業に占める中小都市部の比重の高さが評価に影響しているが、BOCIは大都市ほどでないにせよ中小都市の不動産市場もここに来て改善傾向にあると報告している。中国の大都市(1線・2線都市)以外の人口は約10億人。中小都市では分譲住宅の普及率が4割以下(大都市は6割以上)と低く、潜在需要は大きいとみる。

 BOCIは今回の増資により、1株当たり予想NAV(純資産価値)が2.6%希薄化され、13.59HKドルになると計算。市場の信頼度の後退を反映させる形で、予想NAVに対する目標株価のディスカウント率を45%から50%に修正し、目標株価を引き下げた。現在株価は2022年予想PBR(株価純資産倍率)でわずか0.3倍に相当し、対NAVでは76.7%のディスカウント水準。BOCIは財務の強さや成約状況を考慮すれば、魅力的な水準にあるとしている。