不動産不況でも相対的に堅調、強力な財務と積極的な土地取得でシェア拡大へ

現地コード 銘柄名
00688

中国海外発展

(チャイナ・オーバーシーズ・ランド)

株価 情報種類

21.35HKD
(7/22現在)

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 新型コロナウイルスの感染再燃などを背景とした中国不動産市場の低迷が、不動産セクターの大きな下落圧力となっているが、中国海外発展は以前にも増して強力な業界ポジションで、この苦境を乗り切る可能性が高い。強力なバランスシートを支えに、開発用地の確保と物件成約状況の両面からセクター全体をアウトパフォームし、市場シェアを拡大させる見込み。BOCIは2022年6月中間期について、小幅の減収と利幅の低下による前年比約10%の減益決算を予想しながらも、セクター全体を上回るとみている。また、続く下期には物件成約額がプラス成長を回復すると予想。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 政府系の不動産デベロッパーである中国海外発展の2022年上期の物件成約額は、前年同期比33.2%減の1,385億元。BOCIが調べたデベロッパー各社の平均値「46%減」をアウトパフォームした。同社が上期に予定していた分譲対象物件は総額1,900億元弱だったが、下期には2,250億元に上向く見込み。BOCIは不動産市況の改善見通しと前年同期実績の低さ(月間成約額がほぼ300億元未満)から、下期にはほぼ一貫して、前年同月比プラスで推移するとみる。2022年通期に関しては、前年比の成約額の減少幅が約15%まで縮小し、多くの同業銘柄を上回るとの見方だ。

 同社の2022年上期の土地使用権の取得額は、傘下の中国海外宏洋(00081)分を除いて総額約480億元に達した(持ち分は100%に近い水準)。中国海外宏洋を含めた場合は531億元と、上期の成約額の約38.3%に相当する金額となった。同業他社より積極的に、新たな開発用地の取得に動いたことになる。また、中国海外発展は1月に36億9,000万元を投じ、「広州アジアゲームビレッジ(広州亜運城)」複合開発プロジェクトの持ち分を20%から73.33%に引き上げたが、この分は上記の土地取得額に含まれていない。BOCIは土地競売の価格プレミアムが下がったこのタイミングでの積極的な用地の取得を前向きに評価。将来の成長と市場シェアの拡大に向けた基盤の強化につながると指摘している。

 現在株価は2022年予想PBR(株価純資産倍率)0.5倍で、BOCIの予想NAV(1株当たり35.41HKドル)に対して39.7%のディスカウント水準。2022年予想PER(株価収益率)では4.9倍に当たる。BOCIは強固な財務や相対的に高い成長見通し、市場シェアの拡大見通しを考慮すれば、現バリュエーションは魅力的との見方。株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

 一方、レーティング面での潜在リスク要因としては、新型コロナ感染の再燃により、不動産市場の回復がさらに遅れる可能性を挙げている。