台山原発1号機が数カ月以内に再接続へ、電力販売価格の上昇も追い風に

現地コード 銘柄名
01816

中国広核電力

(CGNパワー)

株価 情報種類

1.97HKD
(7/8現在)

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 中国の原発最大手、中国広核電力の経営陣はカンファレンスコールで最新情報を共有し、メンテナンス作業を行っていた台山原発1号機(広東省)が向こう数カ月以内に送電網に再接続する見通しを明らかにした。一方、市場ベースの電力販売価格は2022年上期に前年同期比13.5%上昇し、これが通期決算における利益成長エンジンとなる見通しを示したという。BOCIは2022-2024年の予想純利益を4-6%増額修正し、目標株価を上方修正。株価の先行きに対するこれまでの中立見通しを、強気に引き上げている。

 経営陣によると、台山原発1号機のメンテナンス作業はすでにほぼ完了しており、現在は再稼働と送電網への再接続に向けた準備段階にある。メンテナンス費用は発生した時点でその都度計上するため、再稼働時に一気に全額を計上することはないという。BOCIはこれにより、同社の投資案件における最大の懸念が払拭(ふっしょく)され、投資家信頼感の回復につながるとの見方。台山原発1号機の再接続時期については、やや慎重に、2022年7-9月期の終わりごろを予想している。

 火力発電の市場ベースの電力販売価格が約20%上昇したことで、原子力発電所の運営事業者も2022年の電力価格の上昇を見込んでいる。原発の電力価格はさほど大きく値上がりしていないものの、同社経営陣によれば、上期には市場ベースの販売価格が前年同期比13.5%上昇した。原発の安定的なコスト構造を考えれば、これは朗報。販売価格の上昇分がほぼそのままダイレクトに、期中の利益に上乗せされることになる。

 EU(欧州連合)は7月6日、天然ガスとともに原子力を「持続可能なエネルギーソース」という分類に加える方針を採択した。主に放射性廃棄物の処理力や事故耐性燃料などに関して、いくつかの条件が付帯されているとはいえ、原子力発電がこれを機に、ESGファンドのネガティブリストから除外される可能性が出てきた。欧州のESG調査機関Eurosifによれば、現時点で、欧州のファンドの約33.9%が原子力を投資先から除外しているという。BOCIはこうした投資障壁が低くなり、原発への関心が再び高まれば、最終的に同社の投資案件に有利となる可能性を指摘している。

 BOCIは同社の2022-2024年の予想純利益を4-6%増額修正。これに伴いDCF(ディスカウントキャッシュフロー)ベースの目標株価を引き上げた。現在株価は2022年予想PER(株価収益率)8倍で、予想配当利回りは5.7%。BOCIはファンダメンタルズの改善や政策環境などから、クリーンエネルギー事業者の中でも魅力的な水準にあるとしている。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、設備稼働時間が予想を下回る可能性、営業費用が予想以上にかさむ可能性を挙げている。