ロシアの輸出減で原油高持続へ、川上銘柄に有利
現地コード | 銘柄名 |
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00883 |
中国海洋石油 (CNOOC) |
株価 | 情報種類 |
10.00HKD |
株価 企業情報 チャート |
BOCIは世界の原油市場が今のところまだ、ロシアの輸出減による影響をさほど実感していないと指摘し、短期的には原油相場が高値圏で上下しつつ推移するとみている。原油高騰で川下部門は苦境にあるとして、川上銘柄に注目。CNOOCの株価の先行きに対し、強気見通しを継続した。中国の石油メジャー3社の中では唯一、今後数年間にわたって生産量の一定の伸びが見込めるとしている。
ロシアの石油輸出量は5月まで、1日当たり約500万バレルで推移してきた。一部の欧州諸国がロシア産原油の輸入を削減・停止する中、インドが大幅に輸入を増やし、減少分を補った。ただ、EU(欧州連合)はロシアからの輸入量をさらに削減しつつある。BOCIは仮に、インドに一段の輸入増の意思がない場合、あるいはロシアの黒海の石油積み出し港が限界に達した場合、市場は総供給量の落ち込みを実感することになると指摘。一方、マーケットは石油需要の縮小につながりかねない米国の景気後退を懸念しているが、米国の石油需要は歴史的に見て、GDP(国内総生産)成長率との関連性がさほど高くないという。
中国国内の価格決定メカニズムの下では、原油高は川下の石油精製業務には不利。原油調達コストの増大が利幅を圧迫するほか、コスト増分を顧客にフルに転嫁することが難しいために、川下部門では化学品の利幅も縮小傾向にある。こうした点から、BOCIは川下ではなく、川上業務に特化するCNOOCを選好している。
同社の2022年の経営戦略によれば、石油・ガス生産量は2022-2024年に年率平均5.9-6.4%のペースで増加する見込み。この数字は中国の石油メジャー3社の中で最も高い。また、現在株価は2022年の予想PER(株価収益率)で3.2倍。予想配当利回りは12.4%の高水準にある。
BOCIは3月時点で、原油価格(ブレント平均価格)に関する予測値を見直し、2022年予想を1バレル=765米ドルから100米ドルに、2023年予想を70米ドルから84米ドルに上方修正。長期の価格見通しも60米ドルから70米ドルに引き上げた。これを反映させる形で、今回はCNOOCの2022年、2023年の予想EPS(1株当たり利益)をそれぞれ33%、22%増額修正している。2022年4-6月に1株当たり10.8元でA株29万9,000株を新規発行したことによるEPSの希薄化も、新たな予想値に反映させたという。
こうした利益見通しの引き上げに伴い、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく1株当たりNAV(純資産価値)を14.09HKドルから15.81HKドルに上方修正。これに伴い目標株価を引き上げた。2016年初頭以来のNAVに対する株価プレミアムの平均値をベースに目標を設定したもので(現在は平均値から8.7%のディスカウント水準にある)、新たな目標値は2022年予想PERで4.6倍に相当する。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、原油価格の急落、予想外のコスト増を挙げている。