都市封鎖の影響で5月の出荷は低調、今後のスマホ市場の回復に期待
現地コード | 銘柄名 |
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02382 |
舜宇光学科技(集団)有限公司 (サニー・オプティカル・テクノロジー) |
株価 | 情報種類 |
116.80HKD |
株価 企業情報 チャート |
舜宇光学科技が発表した5月の業務統計は4月より全般に弱く、BOCIは上海市のロックダウンが影響したとみている。主力3製品の年初からの出荷量はいずれも、経営陣の見通しを下回るペース。ただ、続く6月には中国政府の景気対策の強化が期待されることから、出荷状況はほぼ底を打ったとみられる。この先、支援材料となるのはスマートフォン市場の復調期待。BOCIは目標株価を引き下げながらも、現在株価の低バリュエーションを指摘し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
主力3製品のうち、まず携帯端末用レンズセット(HLS)の出荷量は前年同月比9%減、前月比29%減の9,060万個。特に前月比で大きく下げたが、BOCIによれば、これはコロナの影響を恐れた大口顧客の1社(韓国企業)が4月中の前倒し出荷を求めたことが影響したもよう。スマホ需要もまだ、本格的な回復には至っていない。
一方、車載用レンズセット(VLS)の5月の出荷量は前年同月比9%減、前月比5%減の600万個。受注残が積み上がっているものの、半導体不足の影響が続いた。同社によれば、車載用半導体チップの供給状況は5月、6月もわずかな改善にとどまったという。
携帯電話用カメラモジュール(HCM)の出荷量は前年同月比11%減、前月比3.2%減の4,950万個。経営陣によれば、スマホ市場の低迷が響いた。デュアルOIS(光学式手ブレ補正)や大型センサー、ペリスコープ(望遠レンズシステム)といったハイエンドのカメラモジュールを採用する旗艦スマホモデルの数は増えているものの、旗艦モデル自体の出荷状況が思わしくないという。
同社は今のところ、2022年の出荷見通しを据え置いている(HLSが前年比5-10%増、VLSが20-30%増、HCMが10-15%増)。ただ、BOCIはこれまでの出荷状況の鈍さから、下方修正の余地を指摘。下期に都市封鎖が行われないとの前提の下、順に前年比2%増、20%増、2%減との予測を示している。
BOCIは一方で、同社に対する長期的な評価を据え置いている。AR/VRやLiDAR(光による検知と測距)、ADAS(先進運転支援システム)などの製品分野で、規模や競争力の面で優位にあり、各分野が新たなTAM(獲得可能な最大市場規模)につながる優良企業であるというのがその評価。投資家はすでに、スマホに関するネガティブなニュースに対してさほど敏感ではなくなっており、テックセクターに対する投資心理の回復が引き続き、同社株の支援材料となる可能性が高い。
BOCIはコロナ対策による影響や需要の萎縮を反映させる形で、2022年、2023年、2024年の予想EPS(1株当たり利益)を6%、9%、10%減額修正した。引き続き2022年予想PER(株価収益率)35倍をあてはめ、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。