2022年3月通期は11%増益、続く4-5月のコロナの影響は限定的か

現地コード 銘柄名
01929

周大福珠宝集団

(チョウ・タイフック・ジュエリー)

株価 情報種類

13.74HKD
(6/10現在)

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 金銀宝飾品販売の最大手、周大福珠宝の2022年3月本決算は、純利益が前年比11%増の67億1,200万HKドルと、BOCIの予想を8%下回った。ヘッジ目的のゴールド・ローン(金のショートポジション)に絡む8億3,300万HKドルの未実現損失が響いた形。売上高は前年比41%増の989億3,800万HKドルに達し、予想を3%上回った。BOCIは3月の新型コロナ感染の再燃が小売事業に影響するとみて、既存店売り上げ伸び率の鈍化が数カ月間続く可能性を指摘。2023年3月通期の同社の出店目標(1,000店の純増)には、下方修正リスクがあるとみる。ただ、それでも強固なブランドイメージやフランチャイズビジネスの履行を前向きに評価し、業績面で同業他社をアウトパフォームすると予想。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2022年3月期には8億HKドル強のゴールド・ローンの未実現損失が純利益を押し下げたが、BOCIはこの部分が非経常項目に当たると説明。フランチャイズ店からの旺盛な需要を受けた金在庫の積み増しに備えたもので、金価格高騰の結果、期末のゴールド・ローン総額が前年比175%増の157億2,100万HKドルに膨らんだことが影響したという。一方、通期の売上高が41%増えた点が好材料。本土の卸売販売部門が好調だった。

 粗利益率は前年を6.0ポイント下回る22.6%(調整後では4.8ポイント低下の23.4%)。急速な事業規模の拡大で、卸売部門の粗利益率が10%台前半にとどまった。ただ、営業利益率は9.2%に達しており、BOCIは悪くない数字と受け止めている。また、売上高販管費率が14.1%へ2.8ポイント低下した点に目を向け、フランチャイジング型モデルの採用による営業利益率の影響がほぼ中立的であることが示唆されたと指摘している。同モデルが適切に運用されれば、むしろポジティブに作用する可能性もあるという。

 2023年3月期は上海市などの都市封鎖が続く中での波乱の幕開けとなり、本土の既存店売上高は4-5月に前年同期比28%減。ただ、経営陣は宝飾品需要の閑散期に当たるとして、通期売り上げへの影響は7%程度にとどまるとみる。その後の封鎖の解除や行動制限の緩和で、6月第1週の既存店売り上げは早くも2桁増に転じたという。

 年間配当は1株当たり0.5HKドルで、通期の配当性向は74.5%。株主還元を強化する方針の一環として、株式総数の10%を上限とする自社株買いを提案しており、BOCIは同社としては異例のこの動きを、先行きに対する経営陣の自信の表れと受け止めている。力強いキャッシュフローも、株主還元の強化の背景にあるという。

 BOCIは小売事業に対するコロナの影響を織り込み、2023年3月期、2024年3月期の利益見通しを13%、10%減額修正しながらも、同社の業績が同業他社を上回るとみる。2024年予想PER(株価収益率)16.5倍をあてはめて(2023年予想PER18倍から修正)目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。