2022年1-3月期決算が予想上振れ、組織力や実行力に高評価

現地コード 銘柄名
03690

美団点評

(メイトゥアン・ディエンピン)

株価 情報種類

180.20HKD
(6/6現在)

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 美団の2022年1-3月期決算は、売上高が前年同期比25.0%増の463億元と、市場コンセンサス予想、BOCIの予想をそれぞれ2.2%、1.7%上回った。非GAAPの純損失は市場の予想より22%ほど小幅。ネット出前業務の補助金の縮小や店舗・ホテル・旅行予約ビジネスの売上構成の変化、新規ビジネスの損失管理の改善などが寄与した。BOCIは同社の強力な組織力と実行力を高く評価し、6月からの段階的な業績改善を予想。下期には力強い回復を遂げ、2022年通期では赤字縮小が期待できるとしている。業績見通しの修正に伴い、目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

 1-3月期の売上高が予想を上振れたのは、主力のネット出前業務と新規ビジネスの収入がいずれも予想以上の水準に達したため。非GAAPベースの純損失は35億8,600万元と、市場予想の45億8,500万元より22%小幅だった。主に【1】出前業務の補助金支出が予想より小さかった、【2】店舗・ホテル・旅行予約業務の利益率が45.6%に達した(BOCIの予想は41%)、【3】新規ビジネスの赤字が90億元にとどまった(BOCIの予想は95億元)――という3点が理由。一方、実際に取引を行った利用者数は前四半期比240万人増と伸びが減速し、都市封鎖を受けた販促費用縮小の影響をうかがわせた。

 続く4-6月期決算は主に上海市のロックダウンによる影響が鮮明となる見込み。BOCIは増収率が10.9%に減速するとみている。出前業務では注文数が横ばい、AOV(平均注文額)は上昇、補助金支出は減少するとして、部門全体で9.4%の増収を予想。店舗・ホテル・旅行予約部門に関しては、都市封鎖や行動制限による打撃で22.5%の減収を見込む。一方、新規事業は3つの新たな小売形態「美団閃購」(Meituan Instashopping)「美団優選」(Meituan Select)「美団買菜」(Meituan Maicai)の寄与で、37.5%の増収を達成するとの見方。調整後純損失に関しては25億元を予想している。

 都市封鎖や行動制限による店舗・ホテル予約業務などへの影響を反映させる形で、BOCIは2022-2024年の予想売上高を4.2%、4.5%、5.4%下方修正した。ただ、6月には段階的に回復し、下期には都市封鎖の緩和により、回復ペースが加速するとの見方。さらに消費券の配布や潜在需要の喚起による店舗・ホテル・旅行予約業務へのプラス効果を考慮し、2022-2023年の予想純利益を11.4%、5.9%上方修正した(2022年は赤字予想の削減)。通期の調整後予想EBITDA(利払い・税引き・償却前損益)は損益分岐点に達するとみている。

 BOCIは予想EBIT(利払い・税引き前利益)の引き上げに伴い、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式をベースとする目標株価を引き上げた。レーティング面での潜在リスク要因としては、配達スタッフの社会保障費支出に絡む政策リスクのほか、コロナ再燃による行動制限の再度の厳格化、出前業務での顧客満足度の低下、マクロ経済の減速に伴う消費意欲の低下などの可能性を挙げている。