ジェネリック製造から創薬にシフト、集中調達制度が逆風も影響低減へ

現地コード 銘柄名
03692

翰森製薬集団

(ハンソー・ファーマシューティカル)

株価 情報種類

14.14HKD
(5/31現在)

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 BOCIは翰森製薬の新規カバレッジを開始した。同社は中国を代表する製薬会社の1社で、ジェネリック医薬品(後発医薬品)メーカーから、創薬会社への転身を進めている。他の従来型メーカーと同様、国内のジェネリック集中調達制度や、イノベーティブ医薬品の「国家医療保険償還医薬品リスト」(NRDL)収載に伴う製品価格の下落という逆風に直面しているが、うち集中調達制度による影響は創薬事業へのシフトに伴い、段階的に和らぐ見込み。BOCIは同社株価の先行きに対し、強気見通しを付与している。

 同社のイノベーティブ医薬品の売上高は、2021年に前年比168.9%増の42億200万元。売り上げ全体に占める割合は2020年の18.0%から42.3%へ大きく上向いた。その大半は「ミートゥードラッグ」(me-too drug:既存製品の有効成分と同一の薬効、適応症ながらも化学構造が異なる改良型医薬品)ではあるものの、同社は国内での先発者利益や強力な営業チーム、この分野のオピニオンリーダーとの密接な関係を有効活用している。BOCIはイノベーティブ薬の売上比率が2022年に約61%まで上昇すると予想。非小細胞肺がん1次療法を適応症とする認可を2021年12月に取得した「Ameile(阿美楽)」と、2021年にNRDL入りした「Hengmu(恒沐)」がけん引するとみる。なお、同社はこれまでに、この2種を含め、自社開発のイノベーティブ医薬品計6種について、国内の販売認可を取得している。

 集中調達制度の第5次(2021年10月開始)、第7次(2022年下期に実施見通し)リストには、同社製品12種が含まれたが、うち4種は主力のジェネリック製品。BOCIの推計では4種合計の売上比率は2021年に約15%に上り、リスト入りに伴う当該製品の価格下落が2022年の業績に影響する可能性が高い。ジェネリックの売上構成比は2022年、2023年にそれぞれ約14億元、6億元の幅で縮小する見込み。短期的には集中調達が逆風となるものの、BOCIは同社株価の最近の大幅安を受け、マイナス材料はほぼ反映されたとみている。

 BOCIはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式の下、WACC(加重平均資本コスト)10.4%、永久成長率3.0%を想定し、目標株価を設定した。現在株価は2022年予想PER(株価収益率)で24倍。これに対し、目標株価は29.5倍に当たる水準となる。2022-2024年の利益成長率に関しては年率18%を見込む。同業の石薬集団(01093)と中国生物製薬(01177)は現在、予想PERで14.2倍、19.8倍とさらに低水準にあるが、翰森製薬の新薬の売上貢献度の高さを考慮すれば、プレミアム水準に値するとしている。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、集中調達制度とNRDL収載に起因する製品価格の下落幅が予想を超える可能性や、抗がん剤部門での競争激化、研究開発の予想外の遅れなどの可能性を挙げている。