財務の健全性と「国有企業」が強み、不動産市況の低迷下で土地取得を加速
現地コード | 銘柄名 |
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00123 |
越秀地産 (ユエシュウチサン) |
株価 | 情報種類 |
7.87HKD |
株価 企業情報 チャート |
広州市政府系の不動産デベロッパー、越秀地産の2021年12月本決算は売上高が前年比24.1%と、市場コンセンサス予想をやや上回ったが、粗利益率は前年の25.4%から21.8%に後退した。また、物件成約面の圧力で販売費も増大し、コア純利益は前年比3.2%増と、1桁台の伸び。市場予想に小幅に届かなかった。BOCIは粗利益率に関する想定値の下方修正に伴い、目標株価を6%引き下げつつ、財務面の健全性や不動産市況が悪化する中での積極的な土地の取得、今後の力強い成約見通しなどを高く評価。同業銘柄に対するアウトパフォームを見込み、株価の先行きに強気見通しを継続している。
同社は2021年に国内18都市で計918万平方メートルの土地を取得。同年末の保有用地面積は2,711平方メートルに拡大した。国有企業という優位性を生かして「6+1」方式の多角的な土地取得戦略を展開し、同業他社を上回る成果を上げた。「6+1」とは、TOD(公共交通機関を基盤とした都市開発)プロジェクト、国有企業同士の合作、都市運営、都市再生、買収、当局との産業用地取得交渉――という6つの方法に、通常の公開入札を加えた土地取得チャネルを指す。また同社は、政府が不動産デベロッパーに対して導入した債務上限規定「3本のレッドライン」においても、最良の“グリーン”ステータス。純負債比率は2021年末に47.1%と、前年末の47.5%からさらに低下した。こうした財務の健全性は、土地取得面における同社の優位性が2022年も続くことを示唆している。また、土地市場全体の低迷を受け、土地の取得はより容易となる可能性が高い。
2021年の物件成約額は前年比20.2%増の1,151億5,000万元。経営陣によれば、続く2022年の分譲対象物件は2,146億元規模であり、成約率およそ58%を見込むという。そうなれば、通期の成約額は1,235億元に上り、前年を7.3%上回る計算となる。BOCIは不動産市況の回復が予想より前倒しとなれば、2022年の成約額がさらに上向く可能性もあるとみる。
不動産デベロッパーの粗利益率は全般に低下したが、同社も例外ではなく、2021年の粗利益率は21.8%(前年25.1%)。経営陣によれば、引き続き20-25%程度が見込まれるという。国有企業としての資金調達面の優位性や土地市場での競争環境の緩和を考慮し、BOCIもほぼこの水準で推移するとみている。
BOCIは粗利益率に関する想定値の引き下げを受け、1株当たりの予想NAV(純資産)を6%引き下げて16.36HKドルに設定。これに伴い目標株価を引き下げた。ただ、現在株価は2022年予想PBR(株価純資産倍率)で0.4倍と、予想NAVに対して35%のディスカウント水準にある上に、2022年予想利回りは8.9%の高水準。積極的な土地の取得や財務の健全性、土地取得チャネルの多様性を考慮すれば、現在バリュエーションは魅力的だとしている。