2021年本決算は14%増益も予想から下振れ、設備レンタル収入が減速

現地コード 銘柄名
00788

中国鉄塔

(チャイナ・タワー)

株価 情報種類

0.84HKD
(3/10現在)

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 中国の3大通信キャリアが出資する通信塔インフラ運営会社、中国鉄塔の2021年12月本決算は、売上高が前年比6.8%増の866億元、純利益が同14%増の73億元だった。レンタル価格の見直しやユニバーサルサービス契約に基づく一部基地局の50%値下げなどが影響し、BOCIの予想をそれぞれ1.2%、7.8%下回った。経営陣は続く2022年の通信塔事業について、1桁台前半の成長ペースを見込む。また、2021年の配当性向を68%から70%に引き上げたことが、株主利益の拡大に寄与するとの見解。BOCIは目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2021年通期の純利益は73億元と、BOCIの予想と市場コンセンサス予想をともに7.8%下回ったが、その原因は主に二つ。うち一つは、一部の省でレンタル料金をオールイン(全部込み)方式に改めたこと。その結果、10-12月期のレンタル収入が前四半期から3億元減少した。もう一つはユニバーサルサービス契約に基づき、一部の基地局サイトで50%割引を実施したこと。これにより、新たな基地局によるレンタル収入の上乗せ分が細る結果となった。

 2021年の設備投資は、5Gプロジェクトの一部遅延やコスト削減による電源設備コストの低減を受け、前年比32%減の251億9,200万元だった。経営陣は前年に続き、2022年の設備投資予算を300億元に設定。将来的な設備投資に関しては、慎重姿勢を維持する方針を明らかにしている。

 期末配当は1株当たり0.02624元を予定しており、前年比では17.4%増(中間配当はなし)。配当性向は68%から70%に上昇することになる。

 BOCIは2022年、2023年の予想売上高を1.9%、1.4%引き下げ、予想純利益もそれぞれ13.2%、6.1%減額修正。これに伴い、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を引き下げた。2021年に見られた通信塔インフラのレンタル収入の伸び率鈍化が、通信キャリア各社のコスト管理の厳格化に起因する可能性を指摘。また、より効率的な700Mhzの5G無線ネットワークの活用や通信キャリア間のネットワーク共有を受け、通信塔のレンタル需要が縮小した可能性にも言及している。半面、増配方針が短期的に、同社株価の支援材料になると予想。株価の先行きに対して強気見通しを据え置いた。

 レーティング引き下げにつながる可能性があるリスク要因としては、通信キャリア各社のコスト削減と、レンタル契約の再協議による影響を指摘。こうした要因が同社利益を押し下げる可能性に触れている。