設備増強を継続、太陽光発電ガラスに再び供給ひっ迫の可能性

現地コード 銘柄名
00968

信義光能控股

(シンイー・ソーラー)

株価 情報種類

14.12HKD
(3/1現在)

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 太陽光発電(PV)用ガラス大手、信義光能の2021年下期決算は、BOCIの予想と市場コンセンサス予想とのほぼ中間あたりの水準だった。BOCIは2022年には利益率が従来レベルに下向くとみる半面、PVガラスが太陽光発電バリューチェーンの“主役級”に返り咲く可能性があると指摘。時間を味方に付けたとみて、同社の投資案件に対しても楽観的な見通しに転じた。ただ、マクロ面の逆風や利益率の拡大余地が当面限られることなどに触れ、投資家に対しては、より理想的な買いのタイミングを待つよう助言。目標株価を引き上げながらも、株価の先行きに対して中立見通しを継続している。

 2021年下期にはPVガラス部門の粗利益率が30%に達し、BOCIの予想を上回った。原材料費や燃料費が高騰する中、コスト管理の点で同業他社を上回る成果を上げた。具体的にはより安価での原材料の調達や効率化が貢献した可能性が高いという。経営陣はこの点に関して詳細を明らかにしていないが、BOCIは同社が今後も競争力を維持するとみている。

 2023年の段階では、生産能力の拡大が利益成長を後押しする見込み。経営陣によれば、有効生産能力は2021年に前年比36%増加した後、2022年も同33%増える可能性があるという。在庫レベルが相対的に高く、利益率も月並みな水準にあるにもかかわらず、同社は2022年の設備増強計画を迷いなく進めているもよう。「専門家によるヒアリング」の影響で試運転の日程が遅れることがない限り、2022年には日産8,000トン分のガラス生産力の上乗せを目指す。年内にライン8本を建設する計画で、まずは4-6月に3本が稼働する予定となっている。一方、日産900トンのライン2本では現在、コールドリペアが行われているが、4-6月中の生産再開を見込む。BOCIは2022年の生産増強と相対的な低利益率が、2023年の利益成長率を押し上げるとみて、前年比41%の増益決算を予想。また、同年には、太陽光発電バリューチェーンにおけるガラスの重要性が高まるとみる。ガラス供給が再びひっ迫するタイミングを正確に見極めるために、年内のポリシリコン(多結晶シリコン)とガラスの生産力増強の進捗(しんちょく)状況を注意深く観察する必要があるとしている。

 BOCIは予想を上回るコスト管理の効果を反映させ、2022年、2023年の利益見通しをそれぞれ40%、23%増額修正した。PVガラスのひっ迫感が再び高まり、太陽光チェーンのボトルネックになるタイミングが来るとの見方だ。ただ、現在株価の2023年PER(株価収益率)がいくら低水準にあっても、2022年春の段階でこの基準をあてはめるのは時期尚早とみて、株価の先行きに対する中立見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、天然ガス・その他原燃料の調達コストが予想以上に膨らむ可能性、PV需要が低迷する可能性、設備増強が予定より遅れる可能性などを挙げている。