バイオ薬の海外での承認遅れや国内PD-1市場の競争激化が懸念材料

現地コード 銘柄名
09926

康方生物科技

(アケソー)

株価 情報種類

18.40HKD
(2/23現在)

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 バイオ医薬品を開発する康方生物科技の株価はここ3カ月で大きく下落した。中国製医薬品に対する米食品医薬品局(FDA)の審査の厳格化で、中国バイオ企業の海外進出が難しくなるとの見方が広がった。BOCIは海外での「AK104」と「AK105」の承認に関する見通しが後退したと指摘。さらに中国の免疫チェックポイント阻害剤(PD-1/PD-L1)市場における競争激化を理由に、同社のPD-1阻害剤の売り上げ見通しを下方修正。これに伴い目標株価を大きく引き下げた。株価の先行きには、強気見通しを継続した。

 同社はFDAに対し、上咽頭がんの3次治療を目的とするPD-1阻害剤の承認申請を実施済み(研究開発コードAK105)。BOCIは上咽頭がんが稀有な適応症で、有効な治療法が確立されていないことを考慮し、規制面の柔軟な運用が認められる可能性を指摘している。ただ、主要評価項目が全生存期間(OS)ではなく全奏効率(ORR)であることや、治験データが中国国内限定であることが不利となる可能性に言及し、この申請の予想成功確率を90%から60%に引き下げた。現段階では、肺がんや肝臓がんといった大型適応症のロイヤリティー(特許使用料)は同社の収益モデルに加味していない。

 一方、子宮頸がんの第1治療選択肢としてのカドニリマブ(コードAK104)の申請に関しては、「head-to-head」(既存薬との1対1の比較試験)が必要となるかが焦点。FDAが子宮頸がんの1次選択肢として「キイトルーダ」(ペムブロリズマブ)を承認済みであるためで、市場は「head-to-head」が必要となることを懸念しているという。BOCIは、治療法もターゲットも異なるキイトルーダとの直接対決は必ずしも必要ないとしながらも、臨床試験の設計についてFDAとさらなる協議が求められると指摘。この申請の予想成功確率を30%に引き下げた。

 2022年の注目ポイントはほかに、◇中国国家薬品監督管理局が7-9月期にも、子宮頸がん2次・3次治療薬としてAK104を承認する可能性、◇同局が上咽頭がん3次治療薬およびsqNSCLC(転移性扁平上皮非小細胞肺がん)1次治療薬としてAK105を承認する可能性、◇AK105が上咽頭がんの3次治療用としてFDAに承認される可能性。

 BOCIはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づき、WACC(加重平均資本コスト)を10%から11.1%に引き上げ、永久成長率に関する想定を4.5%から4.0%に下方修正。目標株価を大きく引き下げた。ただ、それでも、国家薬品監督管理局が画期的新薬となるPD-1/CTLA-4を承認する見通しや、中国生物製薬(01177)が支援するペンプリマブの販拡期待、同社の総合的なパイプライン(製品候補群)などを理由に、現在株価のバリュエーションは魅力的な水準にあるとの見方。株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としてはPD-1市場の競争激化や承認申請の失敗、新製品販売の予想外の不振などの可能性を挙げている。