2021年に多額の損失計上も採算性は改善見通し、コロナ感染緩和と戦略転換で

現地コード 銘柄名
06862

海底撈国際控股

(ハイディーラオ・インターナショナル)

株価 情報種類

19.08HKD
(2/22現在)

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 中国の火鍋料理レストランチェーン大手、海底撈国際は2月21日、2021年12月本決算で38億-45億元の純損失を計上する見通しを明らかにした。BOCIは赤字見通しが予想を超えたとしながらも、不採算店の閉鎖や新型コロナウイルスの感染状況の緩和、さらには店舗の収益性を重視する「キツツキ」計画の実行により、続く2022年には採算性が正常化に向かうとの見方。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 同社が示した2021年通期の純損失見通しは38億-45億元。上期の数字を差し引くと、下期には37億-44億元の純損失を計上する計算となる。これはBOCIが予想していた7億1,400万元を大きく上回る赤字。その理由は主に、◇300店舗以上の不採算店の閉鎖や一時営業停止で、減損損失が33億-39億元に上る見通しとなった(BOCIの予想は16億元)、◇下期の散発的なコロナ感染と内部管理上の問題により、既存店(特に新規開業店)の営業レバレッジが悪化した――点にある。また、海外店舗の赤字も2021年下期に拡大した可能性があるという。一方、2021年通期の売上高について、経営陣が示した数字は前年実績を40%超上回る400億元強であり、下期は前年同期比1桁台後半の増収となる200億元強。この数字はBOCIの予想(220億元)を小幅に下回る。

 続く2022年には採算性が改善する見込み。同社はこれまで店舗網の拡大を目指してきたが、すでに内部管理の改善を通じたテーブル回転率の改善(目標は4回転)に経営戦略上の焦点をシフトした。その結果、2021年12月、2022年1月と、2カ月連続で回転率が改善したという。同社は2021年11月、楊利娟・副CEOが主導する「キツツキ」計画を開始したが、これは平均回転率が「4回」に戻らない限り、事業の拡張を基本的に見合わせるというもの。コロナ感染状況の緩和は同社にとって追い風だが、BOCIは店舗マネジメントの強化につながる新たな戦略もプラスに評価。同社が引き続き、個別設定の価格戦略やデジタル化、新製品開発といったイニシアティブを通じ、顧客体験の向上に向けて努力するとの見通しを示した。このほか、同社が2021年に実施した不採算店の閉鎖も、収益性の改善を後押しする要因。BOCIの推計では、同年下期には総店舗数が約160店の純減となった。

 BOCIは2022年、2023年の予想EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)を小幅に下方修正。2022年予想EV/EBITDA倍率14倍をベースに、目標株価を5%ほど引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した(EV/EBITDA倍率は企業価値を示すEVがEBITDAの何倍に当たるかを表す指標)。一方、レーティング面での潜在リスク要因としては、新型コロナ感染の長期化や、店舗密度の上昇による既存店売り上げの悪化、原材料価格や人件費の上昇、食の安全問題、ブランド価値の後退などの可能性を挙げている。