コロナ再燃の逆風下で弾力的成長、強気見通しを付与

現地コード 銘柄名
03690

美団点評

(メイトゥアン・ディエンピン)

株価 情報種類

225.80HKD
(1/26現在)

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 新型コロナの感染拡大や消費の低迷にもかかわらず、BOCIは美団の2021年10-12月期の売上高が前年比で29%増加するとみている。非GAAPベースの赤字額もほぼ前四半期並みにとどまるとの見方。前年同期実績の低さや監督強化策を受けた新規ビジネスの初期損失の抑制により、外食以外の店舗予約部門の売上高が健全な伸びを維持する見通しを示した。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づいて目標株価を引き下げつつ、同社株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げている。

 ネット出前を主力とする生活関連サイト大手、美団の2021年10-12月期の売上高について、BOCIは前年同期比29.4%増、前期比0.5%増の491億元を見込む。うち出前ビジネスの取引総額(GTV)は前年同期比21.2%拡大すると予想(7-9月は同29.5%増)。関連売上高が18.5%増加する見通しを示した(7-9月は28.0%増)。一方、コロナ抑制に向けた移動制限や自粛で、店舗・ホテル・旅行予約部門の増収率は22.5%に減速するとの見方(7-9月は33.1%増)。10-12月期の純損失(非GAAP)については52億元を見込み、ほぼ7-9月の55億元と同水準で推移するとみている。

 中国全体のケータリング市場の小売売上高は2021年10-12 月に前年同期比1.1%減(国家統計局調べ)。新型コロナの再燃で、ネット出前や旅行関連の予約ビジネスを取り巻く不透明感が高まっている。ただ、外食以外の店舗予約事業は消費者のコスパ志向を受け、健全な伸びを維持する可能性が高いという。

 政策面では、「プラットフォーム経済の健全かつ持続的な発展」を目指す政府方針が、結果的にコミュニティー共同購入サービスをはじめとする新規ビジネスの2022年の初期赤字を抑える見込み。規模の拡大より、持続可能な高質の成長を目指す方向への戦略シフトが赤字縮小に寄与する見通しという。一方、この政策に示された配達スタッフの利益や権利の保護はコスト増につながるが、BOCIは利用者への一部転嫁や無人化などにより、追加発生コストは対応可能な範囲に収まるとの見方だ。社会保険と労災保険の追加負担について、それぞれ1注文当たり0.33-0.51元、0.05元を予想している。

 BOCIは2021年の収益見通しを据え置く半面、コロナ感染の影響を反映させる形で、2022-2023年の予想売上高を2.3%、2.0%下方修正。粗利益率の悪化も見込み、純損益の見通しを下方修正した。ただ、この先、「ゼロコロナ」政策が緩和されれば、店舗・ホテル・旅行予約事業はすぐに回復に向かうとの見方で、消費全体の回復に伴うネット出前事業の好調も見込む。経済環境の改善で新規事業も赤字縮小が期待できるという。

 一方、レーティング面の潜在的なリスク要因として、BOCIは配達スタッフの社会保障費絡みの規制リスク、新型コロナ感染の再燃による移動制限の厳格化、出前に対する消費者の満足の低下、マクロ経済の減速による個人消費の鈍化などの可能性を挙げている。